サステナビリティ
Sustainability
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社会
当社ではステークホルダーを意識したESG経営を推進しています。
お客様やお取引先、従業員に対する取り組みをご紹介します。
当社は、グループ経営理念体系の中の5つの指針の第一に「こころに残るおもてなし」を掲げています。これはお客様の立場になって考え、お客様の心に確実に届くおもてなしを実践していくことを表していますが、これらのベースになるのが、お客様の安全・安心への取り組みです。
お客様の声を反映した品揃えやご要望にお応えするためのサービス面の向上はもちろん、デジタル技術を活用した新しい商品提案や、ご購入いただく商品における品質管理の徹底などに取り組んでいます。
2022年4月、髙島屋新宿店にオープンした「Meetz STORE」はデジタル技術を活用した当社初のショールーミングストアです。店頭は商品を体感する場(売らない店舗)に特化しており、従来の百貨店に品揃えのないD2C企業を中心とした商品(食・暮らし・美・和・楽をテーマにキュレーターが商品をセレクトして紹介)を展開し、新しい「出合い」を創出しています。
また、LINEやメールなどのアカウントを通じて、住所を知らない相手にもギフトを贈れる「ソーシャルギフト」のサービスも用意することで、「キュレーターによる審美眼」、「百貨店ならではのリアル体験」、「ギフト提案力とソーシャルギフトへの対応」といった当社の強みを活かし、お客様へ新たな価値を提供しています。
日頃からお客様の声をもとに品揃えやサービスの改善を行っています。従業員が店頭でおうかがいしたご意見を登録する「ウォントスリップ」、お客様ご自身でご記入いただく「ローズちゃんハートシート」やお電話、お手紙、メールなどでお寄せいただくお声はすべてデータベース化し、全社で共有しています。そして、これをもとに品揃えやサービスの改善に取り組んでいます。「お買物する楽しみ」をお客様に提供できるよう、「セールススペシャリスト」や「ストアコンシェルジュ」の配置も実施しています。
当社のセールススペシャリストは、「シューフィッター」や「フィッティングアドバイザー」「ベビーコンサルタント」など、公的資格や髙島屋独自の社内資格を取得しており、その分野において、より専門的な知識を持った販売員がお客様のお買物をお手伝いします。
また、現在、大阪店・日本橋店・横浜店・新宿店・玉川店に配置しているストアコンシェルジュは、セールススペシャリストなどとも連携しながら、全館の商品をコンサルティング。お客様の生活全般に寄り添い、より高度な商品提案を実現しています。
「お客様に信頼される安全・安心な商品の販売・提供」に向け、東西に検査室を設け専任スタッフを配置。また、各店・事業部にも専門スタッフをそれぞれ配置しています。
品質管理グループでは「情報発信」「指導啓発」「検査・調査」「危機管理対応」などの機能を発揮するべく、百貨店として多品種の商品に対応するために、髙島屋グループの自主基準(品質管理基準・表示管理基準)を整備しています。
新しいお取引先と取引を始める際には、事前に製造プロセスや品質管理体制のチェックを行い、確実な商品の販売に向けた助言・協力要請を行っています。さらに、近年は食料品におけるHACCP対応など、より細かな対応が必要となる中、お取引先への説明会や資料提供を適宜実施し、お取引先とともに、安全・安心な商品の販売・提供に向けて取り組みを進めています。
また、検査には商品を壊さずに迅速な検査が可能なスクリーニング機器(蛍光X線分析装置)やマイクロスコープなどを活用し、正確な検査を行い、わかりやすい検査結果報告書を作成するなど、商品の安全性や品質の確保に努めています。
当社は「すべての人々が21世紀の豊かさを実感できる社会の実現」に貢献していくことを目指し、生産・製造・流通の一連の取引において、法令遵守はもとより、幅広い視点で社会的責任に基づいた取引を推進しています。
当社の営業を支えていただいている大事なパートナーである全てのお取引先の皆様と公平で良好なパートナーシップを築きながら、よりよい取引を継続的に推進し、共存共栄を図っていきます。
事業活動における一連の取引において、法令遵守はもちろんのこと、環境保全や人権などに配慮し、公正・公平な取引を推進することを目的として、2024年2月、「高島屋取引指針」を改訂し、「高島屋グループ取引指針」として策定いたしました。
この指針の実行には、お取引先の皆様のご理解・ご協力が不可欠です。お取引先の皆様と共に、サプライチェーン全体で取り組みを推進してまいります。
良きパートナーとしてお取引先とよりよい関係を築くには、相手を敬い、十分なコミュニケーションと相互理解を図ることが重要です。当社の利益のみを優先することなく、お取引先と事前に十分に話し合ったうえで取引条件を取り決め、これを明確にするために書面化しています。
そして最も重要なことは、合意内容を確実・誠実に守ることです。各種マニュアルや取引内容を明確化する書面類を活用し、公正・適正な取引を推進しています。
「パートナーシップ構築宣言」とは、サプライチェーンの取引先や価値創造を図る事業者との連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップを構築することを宣言するものです。
当社においても事業活動に関わる全てのお取引先と公平なパートナーシップを築き、共存共栄を図っていくことを目指しており、「パートナーシップ構築宣言」の趣旨に賛同し、参画いたしました。
グループ経営理念「いつも、人から。」のもと、「人」を最も重要な経営資源ととらえ、一人ひとりの「個性」と「意欲」を組織の成長につなげることを目指しています。一人ひとりが働きがいを感じ、自らの目標に向けて主体的に努力をする組織に向け、従業員の自主性を最大限に引き出す人事制度や豊富な研修メニューを整備しています。
また、コンプライアンスやハラスメント相談などさまざまな相談窓口の設置や、生産性向上を目指す「SAY活動」をはじめ、労使関係に基づく活動など、髙島屋グループで働くすべての従業員が安心して働ける環境整備に取り組んでいます。
「 営業力強化」「組織力の向上」「働きがいの向上」に向け、人材育成の基本方針を定め、社会環境や時代の変化を見据えた人材育成に取り組んでいます。
OJTを基本としつつ、計画的に自らキャリアを開発できるよう、「社会人として必要となるビジネス基礎能力」を習得するプログラムや、専門性をより一層高めるための職務別・ジャンル別のプログラムなどの研修メニューを整備しています。また、一部の研修を除き雇用形態にかかわらず、すべての従業員が等しく受講できる環境を整えています。
特に近年は、デジタル技術による事業や業務の変革をめざし、デジタルスキルに関する各種研修や人事考課目標への組み込みなどを実施し、役員含む全経営層はITパスポート試験の受験を必須化しています。
正社員は、入社後10年間の人材育成の一環として、「メンター制度」を導入しています。
入社4年目のメンティを、異なる部門の入社10年目前後のメンターが支援することにより、実践力と応用力を併せ持つ人材を育成していきます。
育成の考え方 | メンター制度 | |
入社4年目 | 応用力の習得と伸長 | メンティとなり課題解決能力を向上させる |
入社10年目 | 実践力・応用力の向上 | メンターとなり、後輩を指導・支援、育成する力を養う |
※メンター制度は、国内百貨店における制度です
また、契約社員についても、正社員と同等の育成機会として、公募制でのメンター制度を導入しています。
すべての従業員が安心して働けるよう、コンプライアンスや就労管理に関する管理監督者教育や従業員への啓発を実施しています。
また、従業員の健康維持・増進、快適な職場環境づくりに向けた、安全衛生管理を推進しています。
加えて従業員が不正行為などの疑念を持った場合の通報窓口や労働時間や休日・休暇に関する疑問・悩み、健康、メンタルヘルスに関する相談窓口を設置しています。専門カウンセラーによる社外窓口も設けるなど、相談者に不利益が生じない環境を整備しています。
髙島屋労使では、1974年10月、労使が深い信頼関係と相互理解の上に立ち、お互いの立場を尊重しながら企業の発展と労働条件の向上・安定に取り組むという考えを労使共同で宣言し、その実行を目的に「労使生産性委員会(現在のSAY)」を発足させました。
以降、永きにわたり、職場の課題をはじめ社内にあるあらゆる声を収集し、その解決に向けて労使対等で議論を行う、労使で取り組むボトムアップ活動として定着しています。この活動による「対話の拡大」と「一人ひとりの経営参加」を通じ「経営と現場の強い関係づくり」を実践しています。
高島屋では、2008年11月、高島屋労働組合・JSD(現:UAゼンセン(※1))・UNI(※2)との4者協定となる「グローバル枠組み協定」を日本企業労使で初めて締結しました。
グローバル枠組み協定とは、「人権」「労働」「環境」の領域にわたる、企業の行動規範に関する労使協定です。企業の社会に対するコミットメントを企業自らが宣言するだけではなく、労働者を代表する労働組合との協定として調印し、ともに推進することを謳う共同公約です。
領 域 | 行 動 原 則 |
---|---|
人 権 | ・人権擁護の支持と尊重 ・人権侵害への非加担 |
労 働 | ・結社の自由と団体交渉権の承認 ・児童労働の実効的な廃止、雇用と職業の差別廃止 |
環 境 | ・環境問題の予防的アプローチ ・環境に対する責任のイニシアティブ ・環境にやさしい技術の開発と普及 |
経済の国際化を背景に高度化する「社会的責任(SR)」を、労使一体となり高い次元で遂行することを目指し、毎年度、活動の検証を行い、さらなる実践力発揮に向けた取り組みを労使で推進しています。
また、UNIの国際ネットワークを生かし、今後の拡大を見込むアジア地域での事業活動のリスク対応を強化し、より社会の期待に応える企業づくりに取り組んでいます。
2010年11月には、UNIの世界大会でGFA締結企業労使を代表して、鈴木社長(当時)が世界に向けたメッセージを発信しました。また、「グローバル枠組み協定」の締結以降、労使一体となってSR強化を進めてきた取り組みがUNIApro(※3)に評価され、「労使が長期的な相互利益のために協力し、グローバルな調和と共同の繁栄に向けたパートナーとして、ともに手を携えて前進できる企業」に贈られる『パートナーシップ企業賞』を受賞し、表彰を受けました。
全従業員がサステナビリティの重要性を理解し、日常の営業活動や具体的行動に反映できるよう、管理監督者に対し、ESGにまつわるトピックスのe-ラーニング研修を実施しています。23年度は「ビジネスと人権」や、「LGBTQ+の基礎知識」等のテーマ学習を実施いたしました。
年4回発行される社内報「T-Times」では、社外の事例紹介や、役員インタビューのほか、ESG 経営の取り組みについては専用ページを活用して紹介。その他、各社・各店の身近な事例を紹介する「ESG 通信」の発行や社内コミュニケーションツール「ローズスマイル」などを活用し、社内情報の共有・啓発を行っています。
従業員を対象とした衣料品回収キャンペーンの実施や、フードドライブ活動、ワンウェイプラスチック削減に向けた社員食堂でのマイカップ・マイボトル推進キャンペーンなどを実施しています。