#02 ブドウの生命力を引き出すビオディナミとともに
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フランス語で「ヴァン・ナチュール」と呼ばれる自然派ワインの人気が世界中で高まり、ブルゴーニュでも多くのワイナリーがブドウ本来の味わいを求め、有機栽培(BIO)やビオディナミに取り組むようになった。ビオディナミとは、天体の周期に基づき植物の生命力を引き出す農法だ。マダムは、ブルゴーニュ地方でこれを早くから取り入れた先駆者だ。自らが納得できるワインに出会えなくなったことを憂い、1988年には自社畑をすべてビオディナミに切り替えた。だからこそ近年の潮流を「環境にとっては、とてもよいこと」と歓迎するが、同時に「どれだけ徹底的にこだわって実践しているかが重要」と指摘するのも忘れない。それが決して容易ではなく、試行錯誤の連続であることを、身をもって知っているのだ。ルロワのブドウが高く伸びているのも、「木に負担をかけたくない」と1999年を境に一切の剪定をやめたからだ。これについては、穏やかでない言葉で表現した。「ブドウを〝虐殺(massacre)〞しなければ、より味が濃くておいしいワインができるでしょう」。生き生きと伸びる木は、大きな葉に包まれる。「ブドウが日陰になるとも言われますが、果実に栄養を与え成熟させるのは、太陽ではなく葉です。また乾燥しないように、日差しから守ることも必要」と、その理由を説明した。
マダムは「ルロワの畑とワインについての決断と責任は、常に私にあります」と断言し、いまも週に一度、すべての畑に足を運ぶ。収穫後には、ブドウの発酵を促すための「ピジャージュ(pigeage)」という伝統的な工程が待っている。収穫したブドウを、巨大な桶の中で裸足で踏む重作業だが、なんとこれも自ら行うという。「毎年欠かさずやっています。楽しくて大好きなの」というが、実はその年のブドウの状態を知るために、必要不可欠な作業である。「例えば、今年のブドウは果汁を多めに含むから潰し過ぎなくても良い、といった指示を出すのよ。体の重い男性だと力任せに踏みつけてしまうから、本当は女性の方が向いているんです」と明かしてくれた。地元でもほとんど行われなくなった裸足でのピジャージュだが、LEROY(ルロワ)社では毎年秋の風物詩だ。