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次代へつなぐ、国産漆と塗師の技。「浄法寺塗」

2024年10月9日

次代へつなぐ、国産漆と塗師の技。「浄法寺塗」
※画像はイメージです

貴重な国産漆を使用した漆器づくりが盛んな岩手県二戸市浄法寺町。国産漆の魅力をいかした浄法寺塗の工程と、サステナブルな素材である「漆」と「塗師の技」を次代へつなげる高島屋の取り組みをご紹介いたします。

#01 浄法寺の良質な漆

岩手県二戸市「浄法寺漆林」
岩手県二戸市「浄法寺漆林」

岩手県二戸市にある人口わずか5千人ほどの小さな町、浄法寺。
ここには文化財建造物の保存に必要な資材の供給林及び研修林となる「ふるさと文化財の森」第1号として登録された「浄法寺漆林」があります。
流通する漆のわずか5%程しかないという貴重な国産漆のうち、7-8割を浄法寺漆林を中心に二戸地域で採られる「浄法寺漆」が占めています。
ここには、漆の木を削った切り込みから漆を採取する「漆搔き」や、器の原型をつくる「木地師」、そして「塗師」といった漆を生業とする職人たちが暮らし、彼らがつくり出す「浄法寺塗」と呼ばれる漆器は長く人々の間で親しまれていました。
しかし、戦後になりプラスチック全盛の時代を迎えると、浄法寺の漆産業は壊滅状態にまで追い込まれることに。
そこで伝統の漆器生産を蘇らせようと立ち上がったのが、この地で生まれ、漆の匂いとともに暮らしてきた岩舘家の人々でした。

漆の木を削った切り込みから漆を採取する「漆搔き」1 漆の木を削った切り込みから漆を採取する「漆搔き」2
漆の木を削った切り込みから漆を採取する「漆搔き」

浄法寺の漆は品質が高く、採れた漆の多くが文化財などの修復にあてられています。
その浄法寺の良質な漆を世に広めたのが、腕利きの漆掻きでもあった岩舘正二さん。そして、浄法寺塗の「塗師」の技を復活させた人物が、浄法寺塗で唯一の伝統工芸士でもある息子の隆さんです。塗師になることを志した当時、浄法寺には塗師が一人もおらず、盛岡にある工房で修行。様々な人の力を借りて漆器づくりを習得、その後、独立して、浄法寺塗の素晴らしさを伝えるために全国各地へと売り込みに出かけたそうです。そんな隆さんの背中を見て育った巧さんも、同じく「塗師」に。親子3代に渡って漆の道を歩んでいます。

浄法寺塗はこちら

#02 浄法寺塗の工程

浄法寺塗の工程は、木地に生漆を染み込ませる木地固めから始まり、表面を研いで塗る作業を繰り返して仕上げていきます。はじめは輪島から取り寄せた「地の粉」を漆に混ぜ、下地として塗っていましたが段々手に入りにくくなったので、漆だけを幾層にも塗る「塗り重ね」という昔ながらの手法を、隆さんが復活させました。良質な漆が採れる浄法寺だからこそ漆の表情を活かしたい、という思いがあったそうです。
塗りにおいて難しいのは、漆の乾き具合の調整です。部屋の温度や湿度に気を遣うとともに、隆さんは漆の中に乾きの遅い漆を混ぜることで乾く速度をコントロールしているそうです。
そして最後の「上塗り」の工程は、最も神経を使う作業です。
埃が付着してしまうと売り物にならないため、入口の扉が2重になった特別な部屋で、細心の注意を払いながら作業を進めていきます。

上塗りを経てようやく完成した器は、「塗師」の技が詰まっており、その技が生み出す美しい艶を湛え、趣深いです。
浄法寺塗の器の魅力は、蒔絵のような装飾を施していない、その潔いほどのシンプルさ。
漆自体を主役にしたいという隆さんの思いから、美しい色や風合いを活かすために無地にすることに決めたそうです。使うほどに表面の色艶が増し、年数が経つほどに美しく育っていきます。思わず手に取りたくなり、長く愛用したくなる。浄法寺塗はそんな器であってほしいと隆さんは語ります。
浄法寺の塗師は、希少な国産漆の魅力をいかした漆器づくりを志向し、日常使いの器にこだわって作り続けています。
高島屋では、浄法寺漆器工芸企業組合(岩舘隆さん・巧さん)・浅野奈生さん・佐々木暢子さんの浄法寺塗を取り扱っております。

#03 貴重な国産漆を使用した漆器づくりがこれからも長く続くために、高島屋ができることは何か?

高島屋では、「たくさんのお客様に浄法寺漆の魅力が伝わり、浄法寺漆器の使い手がますます増えていきますように」また「使い手の想いが産地につながりますように」という想いをこめて、2024年秋から新たに、品物の仕入れ販売だけでなく、漆の木の育成への支援に参画する取り組みを開始いたします。
高島屋各店舗、高島屋オンラインストアにて販売した浄法寺漆器の売上の一部を漆の苗木の購入に充てていただくために「岩手県二戸市 漆の郷づくり推進課」へ寄付いたします。

※対象商品の店舗でのお取り扱いにつきましては、WAGOTO売場(日本橋店、新宿店、玉川店、横浜店、大阪店、京都店)におたずねください。

  • 贈答のマナーやしきたりには諸説あり、また各地・各家の伝統やならわしによって異なる場合がございます。
  • のし紙(掛紙)のイラストは、表書きのうち代表的なものを記載しています。

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