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2021.12.7

開発秘話【1.ボアフリース素材 編】

MD本部バイヤー / 橋 祐介

▲左から タキヒヨー株式会社 素材開発/販売グループ 企画開発チーム 渡邊 智樹さん、株式会社高島屋MD本部バイヤー 橋 祐介、タキヒヨー株式会社 素材開発/販売グループ サステイナブルチーム 唐牛 公亮さん

デパートデループのものづくり。
様々なパートナーさんとの協業なくして
実現はできませんでした。
今回は、一から生地を生産をするにあたり
大変ご尽力いただいたタキヒヨー株式会社の
唐牛さん・渡邊さんにお話を伺いました。



■自社ネットワークを総動員。もう二度とできないかもしれません(笑)。

橋:
この秋冬は、洋服を作るうえで
一から生地を開発していただきました。
代表的なボアフリース素材、ダンボール素材、
ツイル素材について順番に深掘りできればと思います。
まずは、ボアフリース素材はいかがでしたか?

唐牛:
このボアフリースは、
非常に難しい案件でした(笑)。
BRING Materialを使用し、ポリエステル100%で
全て日本生産となると、技術力のあるニッターさんと
ゼロから関係を構築する所からのスタートでした。
高島屋が打ち出している「再生し続ける服。」に
弊社も賛同しているので、なんとか実現できるよう
自社のネットワークを総動員しました。

橋:
ありがとうございます。
品質や納期含め、まさに御社でしか実現できなかった
生地だったと思います。ボアフリースって
最近はアクリル混などが多い印象ですが
ポリエステル100%で開発するのは難しかったでしょうか?

唐牛:
ボア部分は特に
ポリエステル100%生地を使うのは珍しく、
ニッターさんとの交渉はとてもハードになりました。
また、ボア地はペットボトルを原料にした
再生ポリエステル糸を使ったので更に大変でしたね。
結果、どちらの生地も相当こだわりの強い設計になりましたが、ニッターさんに嫌がられながらも(笑)熱い思いを伝え、何とか実現に漕ぎ着けたというところです。

▲左側がボアフリース素材

橋:
こちらの期待を遥かに上回る仕上がりでした!
初めて生地を見た時、質の高い風合いもさることながら、軽さにまず驚きました。

唐牛:
軽さに関しては、我々もかなり驚きました。
多くの場合、
残念ながら最終のプロダクトになった時に
生地のこだわりが反映されている物は少ないのですが、今回はばっちり出ましたね。

橋:
ボアの毛羽もかなり強度がある印象です。

渡邊:
ボアフリースは通常、毛羽の抜けが気になりますが
今回は非常に抜けにくい丈夫な生地に仕上がりました。

橋:
ポリエステル100%だから?

渡邊:
我々もいま解明中でして(笑)。
どんな素材でもボアフリースは
毛羽が抜けやすいですが、確かにこれはとても強い。
我々のクオリティコントロール室も驚きの数値で
「こんなに抜けないのは珍しい」と言っていました。

橋:
安心してガシガシ着れそうです!
毛足の風合いも相当こだわりましたよね。

唐牛:
全国から約20個のサンプルを集めて
色々な角度から検証しました。
結果、程よいカールで、堅牢な毛足に。
少しミリタリーテイストな印象に仕上がりましたね。

橋:
アクリルを入れないことで
柔らかすぎない仕上がりがデザインとマッチしていますよね。再生ポリエステル100%とは思えません。

唐牛:
生地のプロとして、
納得のいく提案ができてよかったです。
スケジュールや機械の調子など
様々な事が噛み合ったお陰なので、もう二度とできないかもしれません(笑)。


次回、【ダンボール素材 編】へ続きます!

BUYER HASHIS  PROFILE

橋 祐介 / バイヤー

橋 祐介 / バイヤー

古着屋でのアルバイトに没頭した学生生活の後、特選(ラグジュアリーゾーン)のバイヤーと兼務で、本プロジェクト担当。名画座と純喫茶が好き。

岡田 ひかり / 化粧品バイヤー

岡田 ひかり / 化粧品バイヤー

化粧品の自主編集売場を担当。もんじゃ焼きが好き。趣味はクラシックバレエ。人生もバレエもバランスが大切。