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2024.4.2

羽毛ふとん再生プロジェクト

MD本部バイヤー / 橋 祐介

デパート デ ループの新メニューとしてスタートした
「羽毛ふとん再生プロジェクト」。
衣料品やコスメに加えて
また新たな循環企画としてチャレンジしました。

2023年10月に全国各店で回収を開始。
当初、衣料品やコスメと違い、ふとんはかさばるので
店舗にご持参いただくのは少し難しいかな、、と
思っておりましたが、結果はうれしい誤算。
約200枚もの大量の羽毛ふとんが集まり
大きな反響をいただきました。ご持参いただきました
お客様、本当にありがとうございました。
この場を借りて、御礼申しあげます。

さて、回収した羽毛ふとんは
解体して丁寧に洗浄した後、
西川株式会社の協力工場にて
リサイクル羽毛ふとんに生まれ変わります。
今回は、実際に回収したふとんが、どのような
プロセスを経てリサイクルされるのか
その現場に迫りたいと思います。

回収した羽毛ふとんは、
大きく「解体」「洗浄」「乾燥」「充填」「縫製」
「検品検針」の工程を経てリサイクルされます。
本日レポートするのは
「解体」「洗浄」「乾燥」の前半3つの工程。
リビング担当のバイヤーとともに、西川株式会社の
協力工場のある、三重県多気郡に行ってきました。

―――――――――――――

工場に到着し、早速目に飛び込んできたのは
全国各地から集められた、羽毛ふとんの山、山、山!
各自治体からのふとん回収もかなり進んでいるようで
圧巻の光景が広がっていました。この山の中の一部に
高島屋で回収した羽毛ふとんもしっかりと保管されていました。


①【解体】
回収されたふとんはまず、分別工程へ。
様々な種類のある⽻⽑ですが、
ここでは⼀枚ずつ⼿作業で確認し、仕分けを⾏います。
品質にばらつきが出やすいリサイクル⽻⽑では
品質の安定化のため、この事前分別が
⾮常に重要になってきます。
高島屋からの回収分は
品質が高いとされるグースも
多く見られたそうで、上質なふとんを
お預けいただいていることに、身も引き締まります。


続いては、分別された羽毛を取り出す工程に。
専用の機械にふとんをセットした後、
表面の生地に穴をあけて取り出していきます。
取り出しの様子は、是非動画をご覧ください。
(1日に約600枚のふとんを処理されるそう!)
取り出した羽毛は袋詰めして圧縮し、洗浄の工程に進みます。

②【洗浄】
そしていよいよ洗浄!といっても、いきなり洗浄機に
投入するのではなく、まずは除塵機という機械へ。
こちらは、小さな穴が空いたドラム式の機械で
ドラムの穴から大量の油脂分を含んだホコリなどを
排出します。付着物を取り除くことで、羽毛自体の
汚れが落ちやすくなるので、この後の洗浄工程での
石鹸の使用量を減らせるとのこと。どこまでも徹底されています。

除塵が終わると、羽毛の汚れやアカを砥ぎ落とすため
独自設計による専用の洗浄機に投入されます。
1回の洗浄で約200kg、3台ある洗浄機をフル稼働させて
1日で最大約3tもの羽毛を洗浄するとのこと。
(洗剤は2回投入、すすぎは4回!)巨大な洗浄機の迫力に、圧倒されます。
ご担当者様から「羽毛を洗う技術は、
お米を研ぐことに似ている」と伺いました。
羽毛同士を複雑にぶつけ合わせることで
羽毛を傷めずにアカを取り除くことができる
「研ぎ洗い」は、他では類を見ない技術ということにも納得です!
「洗浄に使用する水にこだわりは
あるのでしょうか?」と聞いてみたところ
「リサイクル羽毛がキレイな理由は、
まさに水にあります」との返答が。
「この地ならではの地下水を使用した超軟水は、
浸透力がとても高いのが特徴です。
この水が羽毛の隅々まで入り込むことで
アカやホコリを取り除き、羽毛の機能を
回復させることができるんですよ」。
機械や石鹸だけではなく、水までにもおよぶ
徹底したこだわりを教えてくれました。
たしかに改めて工場内を見渡すと、いたるところに
「ダウンは無味無臭」というインパクト抜群の標語が
ありました。無味無臭のレベルまで綺麗にするという
洗浄への飽くなき探求心が伝わります。


③ 【乾燥】
洗浄が終わると、乾燥です。こちらも洗浄機同様、
巨大な乾燥機に投入されます。
洗浄して濡れている状態の
羽毛を150度の高温で、一気に乾かします。
こちらは、乾かすだけではなく、臭いや菌まで取り除く
効果もある、品質を左右する工程とのこと。
さらに驚いたのは、
冷却除塵機に入れて、この羽毛を常温に冷ました後に
さらに汚れを取り除く工程が控えていたこと。
「不純物を徹底的に取り除くために
独自に工程を追加しています」と、サラッとおっしゃる姿に感銘を受けました。



さて、ここまでくると、工程もいよいよ終盤。
羽毛(ダウン)と羽根(フェザー)をそれぞれの
重さや特性を活かし、風力を利用して選別します。
空間をフワフワと舞いながら選別されるシーンは
とても幻想的ですので、是非動画をご覧ください。
(うっとりするような美しい光景に、シャッターを押す手が止まりませんでした)

そして最後の工程、「検査」。
ここでは改めて、人の手で、人の目で
「ダウン」「フェザー」の混率に間違いがないか
その他の不純物が混入されていないか、
この道何十年の職人さんが、最終確認を行います。
器用すぎるピンセット捌きを拝見し、
検査側終わったところで本工場での工程は終了。
続きはまた次回、栃木県宇都宮市にて
再生羽毛ふとんの完成現場に立ち会ってきます!

BUYER HASHIS  PROFILE

橋 祐介 / バイヤー

橋 祐介 / バイヤー

古着屋でのアルバイトに没頭した学生生活の後、特選(ラグジュアリーゾーン)のバイヤーと兼務で、本プロジェクト担当。名画座と純喫茶が好き。

岡田 ひかり / 化粧品バイヤー

岡田 ひかり / 化粧品バイヤー

化粧品の自主編集売場を担当。もんじゃ焼きが好き。趣味はクラシックバレエ。人生もバレエもバランスが大切。