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2021.12.21

開発秘話【3.ツイル素材 編】

MD本部バイヤー / 橋 祐介

▲ツイル素材を使用したジャケットとシャツ

■ポリエステルには見えない。今後の可能性を秘めた素材だと思います。

橋:
最後にツイル生地について教えてください。

唐牛:
特徴は、当社得意のシック&シンの糸を使用しているということです。
シック&シンの糸というのは、簡単に言うと、
太い部分(thick)と細い部分(thin)のある特殊な形状をした糸のことです。

縦に薄い筋が入っているかと思いますが
この筋があることで、天然素材の生地に
似た印象に仕上げることができました。

橋:
確かに、ブラックはウールのように、
カーキは麻のように見えますね。

唐牛:
おそらく一般の方が見ると
ポリエステル素材には見えないかと思います。
タキヒヨーのこだわりで、生地に熱を通すなどの
特殊加工を施しているのですが、
詳細は企業秘密とさせてください(笑)。

橋:
生地を織りあげた工場とは別の工場に送り、
後加工を施しているということですが
やはりその辺りのネットワークも御社ならではですね。

唐牛:
そう言っていただけると嬉しいです。
実は僕もこの生地を使ったジャケットを
高島屋で購入させていただき、着用していますが
社内でもなかなかポリエステルとは気付かれないですね(笑)。

橋:
実際に、販売スタッフに店頭の反応を聞いたところ、
普段は比較的高品質なウールのスーツを
ご購入いただくお客様からも「ウールと遜色ない」という好反応だったと聞いています。

唐牛:
作り手として、こういったお客様の声は本当に嬉しいです。
もちろん、それでもやはりポリエステルのちらつき(光沢感)は少しはあります。
ですが、そのちらつきが悪いわけではなく
ポリエステルならではの特徴なので、ファッションとして楽しんでいただけたら嬉しいなと思います。

橋:
実際に店頭での反応も良いですし、
サステナブルだから購入されているわけではなく
製品や生地に魅力があったからこそだと思います。

話を伺っていると、この生地は今後、
さらなる発展の可能性を秘めた素材に思えます。

渡邊:
先日も北陸に出張をしてきて、
シック&シンの糸で新しい生地の試作も打ち合わせしてきました。
新作もご期待ください。


■分断から協業へ。旗を振り続ける。

橋:
最後に高島屋の取り組み
「デパートデループ」に関して
御社としてのお考えや、高島屋に期待することがあれば教えてください。

唐牛:
私は、ファッションが好きで
生地が好きでこの業界に入りました。
学生の頃から、大量の洋服が新品で
廃棄されている様子に疑問を持っていたので、
現在の所属であるサステイナブルチームに就く事ができ
やりたいことが出来ているという実感があります。

渡邊:
私も同じ想いです。
そんな中、高島屋が新しく循環型社会の実現を
目指したプロジェクトを始動されると伺い、
取り組みの最初からご一緒できたので、共感も思い入れもとても強いです。

唐牛:
それから高島屋には、発信力を期待しています。
我々がものづくりの担い手とネットワークがあるように
高島屋には、様々なブランドとのネットワークや
お客様との信頼関係があります。
サステナブルな取り組みも
我々繊維商社だけでは実現できません。
分断の多かったアパレル業界ですが
これからは協業に変えていけるよう、旗を振り続けてほしいです。

橋:
もちろんです。
これからも協業よろしくお願いします。
御社なくして、もはやこのプロジェクトは存続できませんので(笑)。


今回インタビューをさせていただきました
タキヒヨー株式会社のお二人を含め、
様々なモノづくりの現場を支えておられる方々の
おかげで、デパートデループをスタートすることができました。
ただ、プロジェクトは立ち上げることよりも
継続すること、拡大することの方がよっぽど難しいと感じています。
僕自身、まだまだお客様に届けたい価値や、
やりたいことがたくさんあるので、引き続き、
プロジェクトを共にするパートナーさんとの協業を加速させていきます。

BUYER HASHIS  PROFILE

橋 祐介 / バイヤー

橋 祐介 / バイヤー

古着屋でのアルバイトに没頭した学生生活の後、特選(ラグジュアリーゾーン)のバイヤーと兼務で、本プロジェクト担当。名画座と純喫茶が好き。

岡田 ひかり / 化粧品バイヤー

岡田 ひかり / 化粧品バイヤー

化粧品の自主編集売場を担当。もんじゃ焼きが好き。趣味はクラシックバレエ。人生もバレエもバランスが大切。