玉川高島屋SC

Artist:
YURI
KEZUKA

展示場所:
本館1F GRAND PATIO

展示期間:
2023年9月1日〜
11月30日

コーディネーター高須咲恵さんが、毎回1人の国内外の注目アーティストをピックアップし、そのアーティストへのインタビューとともに作品を紹介する企画です。今回登場するのは、原始的な素材である「陶土」を使い、現代の人々の営みを鮮やかに表現する現代陶芸家・毛塚友梨さんです。

愛 拾弐 2022

愛 拾弐 2022

愛 拾弐 2022

愛 拾弐 2022

Artist:
YURI KEZUKA

コーディネーター高須咲恵さんが、毎回1人の国内外の注目アーティストをピックアップし、そのアーティストへのインタビューとともに作品を紹介する企画です。今回登場するのは、原始的な素材である「陶土」を使い、現代の人々の営みを鮮やかに表現する現代陶芸家・毛塚友梨さんです。

展示場所:本館1F GRAND PATIO
展示期間:2023年9月1日〜11月30日

-毛塚さんのアーティスト活動の原点を教えてください。

幼い頃から陶芸家である父のアトリエで遊んでいて、将来はものを作る仕事に就きたいと漠然と思っていました。作家になることを明確に意識したのは、高校1年生の時。横浜トリエンナーレで初めて見た現代アート作品に、一目で心を奪われたんです。「なんだろう、これ?」と好奇心をくすぐる作品に出合い、自分も作ってみたいと強く感じました。それまで学校で習うような古典的な美術にはあまり興味が持てなかったのですが、自由でかっこいい美術もあるのだと知ったんです。

8年間 2009

8年間 2009

-一方で、その表現方法として古典的な「陶芸」を選んだのはなぜでしょう?

これも「なんで?」という好奇心がきっかけかもしれません。私はずっと、陶芸に対して、「陶器だからって、なんでお皿や壺の形にならないといけないんだろう」と不思議に思っていました。そこで現代アートと出合ったことで、陶芸で自由にものを作るという今のスタイルにつながったんですね。
それに、作家として何をどう作るか考えた時、まず私は立体で表現したいとも考えました。もの作りとは、自分が見たものを自分というフィルターを通してものに置き換えることだと思うんです。私の場合は、自分の中でものを平面ではなく立体でイメージしているので、陶芸という立体表現は、作りたいものをより具体的に形にできる打ってつけの方法でした。

8年間 2009

8年間 2009

-陶芸には、素材としての魅力もあると思います。毛塚さんは陶芸のどんなところに惹かれていますか?

陶土は鉱物の塊で、そこには自然の美しさがあり、自然ゆえに人の手に負えない部分も大いにあります。窯の中に入れたらもう手をつけられないですし、ある程度まで作ったら、あとは成り行き任せ。すべてのものごとに通じる話ですが、日々の中でも、自分でねじ伏せようとしてもねじ伏せられないことって、たくさんあるんですよね。その“ままならなさ”が、私の感じる陶芸のいちばんの魅力です。

-毛塚さんの作品には、縄文土器に使われていた「紐作り」という原始的な手法が用いられていますが、なぜその手法に行き着いたのでしょう?

父に初めて教えてもらったのが紐作りで、一本一本積み上げていく工程がとても好きなんです。縄文土器は、機能性重視で作られてきた素焼きの雑器に比べ、その時代の信仰や考え方を反映していて、一つひとつに特別な意味が込められていると思うんです。そこに好奇心をくすぐられ、私自身も「現代の土器」というコンセプトで作品を作っています。現代は量産品に溢れているし、近年は形のないデジタルアートも人気ですが、いくら非物質の世界が広がったとしても、人は「触る」ということからは離れられない。だから、実際に手で触れられる物質であるということに重きを置いています。

左/8年間 設計図 2009 右/8年間 制作風景 2009

左/8年間 設計図 2009 右/8年間 制作風景 2009

-では、創作のインスピレーションはどんなところから受けていますか?

モチーフに選ぶものは、普段からよく目にする生活用品が多いですが、アイデアは社会問題や自然の中で感じる美しさなど、いろんなものから受けた刺激から生まれています。例えば、つらい経験をして心にぽっかりと穴が開いてしまうと、周りから優しくしてもらっても、なかなかその穴は塞がりませんよね。その感覚を、心は穴が開いたバケツ、みんなが注いでくれる愛情は蛇口というふうに、わかりやすいものに置き換えて表現しています。

愛 拾壱 2022

愛 拾壱 2022

-これまでに個展も多く開催されていますが、特に思い入れのある作品を教えてください。

二股にわかれた蛇口とおもちゃの宝石箱がふたつ並んだ「愛 捌」です。宝石箱は私の娘たちを表現していて、私から彼女たちに均等に愛を注ぐというテーマの作品です。私が注いだ愛を、娘たちの手で宝石に変えてほしいという思を込めました。

愛 捌 2022

愛 捌 2022

「愛」は私の代表的なシリーズですが、青色のグラデーションが印象に残るという方が多いかもしれません。私にとって青という色は、まるで人の心と同じように、奥にいくにつれて濃く深くなっていく——深海のようなイメージ。だから青を使った「愛」シリーズでは、人の心を満たす愛を青色で表現しています。

-今回、GRAND PATIOではどのような作品を見られるのでしょうか?

「愛」シリーズを数点と、靴下や手袋などの衣類を表現した「UNISEX」シリーズ、新作のスウェットシャツの作品を展示しようと思っています。私にとっては初めてとなる映像作品も準備中です。展示する作品とリンクするような動画をまとめているので、作品を一歩踏み込んで体験してもらうきっかけになればいいなと思います。「なんか変なものがあるぞ!」というワクワク感を、作品を通して共有できたらうれしいです。

左/愛 拾伍 2022 右/UNISEX-靴下 2022

左/愛 拾伍 2022 右/UNISEX-靴下 2022

Yuri Kezuka

photo by Ryu Amon

Artist

毛塚 友梨
Yuri Kezuka


最も古い素材(陶芸)で現在を作るアーティスト。PC、バケツ、蛇口などの現代的な生活用品、室内設備を陶器で形作り、社会の中での小さな単位(家庭や友人関係など)での問題提起、人間の精神、社会的通念への懐疑・皮肉、哲学的考察などをコンセプトとして、現在を生きる人間の営みを表現しています。 主な個展に2023 往古来今(お茶の小井沼 栃木)、グループ展に2023 ブレイク前夜展(Artglorieux of Tokyo、東京) 2023 CERAMIX(西武百貨店渋谷店 美術画廊、東京)など
1984 栃木県栃木市生まれ 2009 東京藝術大学美術学部工芸科陶芸専攻 卒業 2012 うづまこ陶芸教室 開業
https://www.yurikezuka.jp/
@yurikezuka


高須咲恵

Art Curation

高須咲恵
SAKIE TAKASU


自身がアーティストやキュレータなど様々な立場で活動している背景から、企画から制作まで多様なプロセスをアーティストと共にし、「空間と人と作品の関係」を模索。リサーチベースのプロジェクトにも数多く参加し、特に都市における公共空間で複数の実験的なプロジェクトを展開。アートユニット「SIDE CORE」の一員として活動する他、宮城県石巻市で開催されてた「Reborn-Art Festival 2017」アシスタントキュレータとして参加、沖縄県大宜見村で開催されている「Yanbaru Art Festival」内では廃墟での会場構成を行うなど多くのプロジェクトに携わっている。

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