おしゃれな人がいて、いい香りがして、美味しいものがあって、不思議なものもあって、デパートにはいつも発見があふれています。WEBマガジン「デパートロジー」では、
日本橋高島屋を中心にぐるりと歩いて見つけた面白いモノやコトをお知らせ。
息抜きついでに、ちょっとのぞいてみませんか。
更新日:2023/9/5
この9月、日本橋高島屋で「民藝展」が開催されます。約100年の歴史を誇る民藝ですが、そもそも民藝とは、職人の手仕事による“日常”の生活道具。ともすれば難しく思われがちですが、毎日の暮らしを大切にする動きが広がる現代こそ、注目したいものなのです。今回は、そんな民藝を“今”の暮らしに取り入れるための方法をご提案します。
「民藝展」●9月6日(水)→18日(月・祝)/
本館8階 特設会場※最終日は午後6時まで
フードコーディネーター、料理家
こてらみやさん
京都生まれ。「キユーピー3分クッキング」(CBCテレビ)をはじめ、料理制作やスタイリングなど食の総合コーディネーターとして活躍。著書に『レモンの料理とお菓子』(山と渓谷社)など。
Instagram:@osarumonkey
都心のヴィンテージマンションに暮らす、フードコーディネーターで料理家のこてらみやさん。職業柄もあり、骨董の器から現代作家の作品まで、日々幅広い器に親しんでいます。また京都のアンティークショップのお生まれならではの古いものを取り入れたインテリアや、ご主人と丹精してきた果樹やハーブが茂るベランダガーデンなど、センスあふれるライフスタイルも注目されています。そんなこてらさんに、本館7階 和洋食器〈銀座たくみ〉の民藝の品々を使って、プロならではの料理の合わせ方や、道具の素敵な取り入れ方を教えていただきました。
※写真は商品の使用イメージです。また〈銀座たくみ〉で常時販売しているものではありません。
厚みがあり、人の手で作られた素朴な温かさが宿る民藝の器。「料理もやはり、温かくて飾らないものがよく合います。シンプルで豪快な煮込み料理や、タルトタタンのような焼き菓子もおすすめです」とこてらさん。
日本だけではなく、スペインやイタリアなどのテラコッタの器や、ベトナムのバッチャン焼きなど、世界各地にも伝統的な手仕事の焼きものがあります。「民藝の器は、そういった海外の素朴な焼きものとどこか共通するテイストがあります。そこからの発想で、素朴で飾らないヨーロッパの料理やエスニック料理も民藝の器と相性がいいですね」
料理をおいしく見せるなら、彩りも意識したいポイント。「黒や濃い茶色の器は、カポナータ(多種類の夏野菜の煮込み)のような色鮮やかな料理や、グリーンサラダのような寒色の料理がよく映えます」
温かみが魅力の民藝の器ですが、逆に合わせるのが少し難しい料理も。「例えば鯛の薄造り。彩りが淡く繊細すぎるので、工夫しないと民藝の器には負けてしまうように思います。もしお造りを合わせるなら、マグロやカツオなどの赤身を厚めに切ったものが合うと思います」。男性的な力強い料理が民藝の器と相性がいいようです。
「とはいえ、民藝の器は丈夫でお手ごろだから、肩肘張らずに使えるのがいいところ」とこてらさん。愛用するうえでおさえておきたいポイントも教えてくださいました。
「料理を盛る前には水にくぐらせて。このひと手間で、ニンニクなどを使った料理もお皿に匂いがつくのを防げます。また陶器は吸水性がいいので、洗った後はしっかり乾燥させてからしまいましょう」。コツを押さえれば長く使えて、ますます愛着も深まっていきます。
水洗い後すぐ収納するとカビや匂いのもとに。水気を拭いたら、釉薬のかかっていない部分を上に置き、広げたふきんやかごの上で一晩ほど乾燥させましょう。
おちょこや箸置きなど小さな器類の収納は意外と悩ましいもの。こてらさんは竹かごにおちょこを収納しています。「こまごまとした形の不揃いなおちょこもすっきり取り出しやすく片付けられます。中も見やすいので、かごごとお客さまにお見せして、好みのものを選んでいただくのも楽しいですよ」。
「紙に貼った布(写真奥)をかごの内側に貼って使えば、かごの中にホコリが入るのを防げます」。
コーヒーミルに小さな棕櫚箒を提げているこてらさん。「コーヒーの粉が散りやすいので、近くにあれば使うたびにお手入れできて便利です」。手作りの棕櫚箒のナチュラルな趣は、目についても気になりません。パンくずが気になるテーブルなど、こまめに掃除したい場所の近くに提げておくのもおすすめ。
使うたびにお手入れすれば目詰まりも予防できます。棕櫚箒はさらに小さいサイズもあります。
こてらさんのご自宅では、あちこちで大小さまざまなかごが活躍しています。大きさや長さが不揃いで収納が難しいストールも、こてらさんは畳んでかごに収納。「ほかにもスリッパを入れたり、書類の当座置き場にしたり。天然素材だからインテリアにもよくなじむし、軽くて運びやすいのも便利なんです」
口径が広いから中も一覧でき、ストールも選びやすく。持ち手付きかごは持ち運びに便利なので道具入れにも。
福島・会津の赤べこや埼玉・鴻巣の赤物など、全国各地で手作りされている郷土人形も民藝の一種。愛らしいだけではなく、厄除けなど幸せへの願いも込められています。こてらさんのご自宅でも、こけしや招き猫をセンスよくディスプレイ。「この小さな赤べこは、玄関にもさりげなくなじみそうですね」
小さな赤べこを仕事机に。無機質なものが多いデスク周りに温かみを添え、仕事の合間に心和ませてくれます。
全国の手仕事の品々が揃う〈銀座たくみ〉。扱う商品は手作りゆえに一つひとつ表情が異なり、その出会いは一期一会。自分だけのお気に入りを見つけに、ぜひお越しください。
※本館7階 和洋食器〈銀座たくみ〉では小鹿田焼、湯町窯、平清水焼等の器など扱っております。〈銀座たくみ〉での取り扱い商品は1点物、また現在お取り扱いのないものもございます。
〈銀座たくみ〉の商品いずれかをお買上げいただくと、先着で「おすすめスイーツ」をプレゼント!
詳しくはCONTENTS.4にある「sweets♥eats」をご覧ください。
民藝運動の一翼を担った高島屋。
日本初の「現代日本民藝展覧会」が東京・日本橋高島屋で開催されたのは1934(昭和9)年。柳宗悦、河井寬次郎、濱田庄司など民藝協会メンバーが、収集選定した1,500余種・1万点以上の民藝品が出品され大盛況でありました。
展覧会実現に向けては、柳をはじめとする面々が日本全国を渡り歩き、開館を控えていた日本民藝館への寄贈品と、高島屋での展覧会出品を選り抜きました。その際の民藝品購入代金、旅費・宿泊費の全てを高島屋が提供。この事は、当時の高島屋総支配人・川勝堅一の回顧記事から見受けられます(※)。
日本民藝館の基礎づくりを助け、民藝品の魅力を世に広める。―草創期の民藝運動に、高島屋が大きな役割を果たしたことがわかります。
(※)参照史料:川勝堅一「民藝館の門出と高島屋」『民藝』302号 (1978(昭和53)年2月発刊)
(史料提供:高島屋史料館)
日本橋店の「現代日本民藝展覧会」開催を記念して特集が組まれた雑誌『工藝』47号(画像提供:髙島屋史料館)
注目を浴びた〝民藝スタイル〟のモデルルーム。
展覧会会場にはバーナード・リーチ設計の書斎、濱田の案による食堂、河井が考案した台所などのモデルルームを併設。日本橋店開催の翌1935(昭和10)年には大阪南海店で、同様の催しを開催し、新聞でも紹介され関西地域でも話題となりました。
大阪南海店開催「現代日本民藝展覧会」の概要や、会場内モデルルームを紹介する高島屋社内報。記事中写真(上)リーチ設計の書斎(下)河合寛次郎考案の台所。『競和』第38号 1935(昭和10)年4月30日 柳宗悦「日本民藝に就て」(画像提供:高島屋史料館)
80年ぶりに待望の復活を遂げた民藝展
時を経た2012(平成24)年、髙島屋の民藝展が約80年ぶりに復活。日本橋店をはじめ4店舗で巡回し、たくさんのお客様で賑わいました。本年2023(令和5)年の開催は復活から5回目となります。
「用と美のこころ 民藝展」日本橋店8階催事場 2012(平成24)年8月〜9月(画像提供:エー・ティ・エー)
全国各地の工房から「用の美」が集う、高島屋の民藝展(展示・即売)を3年ぶりに開催。老舗の民藝店や新進の手仕事店も出店します。頑ななまでに連綿と受け継がれてきた技が生み出す品々に会いに、高島屋へお出かけしませんか。
「民藝展」・9月6日(水)→18日(月・祝)/本館8階 特設会場※最終日は午後6時閉場。
秋はアートイベントが増えるシーズン。日本橋高島屋でも、「民藝展」や「日本いけばな芸術展」をはじめ、バリエーション豊かなアートの催事が行われます。また周辺の日本橋・京橋エリアは、骨董通りを中心にたくさんの画廊や古美術店が集積する美術の街という側面も。ここ数年、新しい美術館やギャラリーも誕生し、さらにアート散歩が楽しくなっています。日本橋で、芸術の秋を満喫してみませんか。
人気の現代美術家が考える“
日本の近代絵画”とは
2020年に開館した「アーティゾン美術館」。1952年創設の「ブリヂストン美術館」を前身に、印象派と日本近代洋画を中心に約3,000点を所蔵します。この秋は、同館コレクションと現代美術家が共演する「ジャム・セッション」の第4弾として山口晃氏が登場。日本の伝統的絵画様式を用いて油絵の技法で描いた作品で知られる山口氏が、同館の雪舟やセザンヌの作品を題材に作品を制作。東京メトロ日本橋駅のパブリックアート《日本橋南詰盛況乃圖》など、話題の作品の原画にも注目を。
■2023年9月9日(土)→11月19日(日)10:00〜18:00(11月3日を除く金曜は20:00まで。入館は閉館30分前まで)休館日:月曜(9月18日、10月9日は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)/アーティゾン美術館 https://www.artizon.museum/芸術としてのAIアートの可能性を探る
2021年に誕生した東京建物のアートギャラリー「BAG-Brillia Art Gallery-」。暮らしを彩る体験となるアートの企画展を行っています。この秋は、AI(人工知能)に精通するアーティスト、窪田望氏の展覧会を開催。リアルさを極めるものが多いAIアートにあえて“引き算”の機能を実装し制作したアート作品や、AIが言葉から感情を読み取り布の揺らぎとして表現する立体作品などを展示。私たちの今後の暮らしに大きく影響するであろうAIのアートとしての可能性を体感できます。
2023年8月11日(金)→10月1日(日) 11:00~19:00いけばなの表現の多彩さに見惚れる
日本いけばな芸術協会が主催する恒例のいけばな展。676名の作家によるいけばな作品が、2日ずつ3期に分けて展示されます。1階正面ホールには「お迎え花」を、8階展覧会場では「いけばな作品」を、秋らしい花材で披露します。いけばなの文化史、時代における花型の紹介はパネルで展示。力強くダイナミックであり、また繊細でもあるいけばなの表現の豊かさを実感できます。
■2023年9月27日(水)→10月2日(月)
日本橋高島屋S.C. 本館8階 ホール《有料》、本館1階正面ステージ※開催時間が日によって異なります。日本橋高島屋S.C.のホームページをご覧ください。
日々の暮らしの中で取り入れられてきた、民藝の器たち。昔ながらの製法で、職人たちが手作りした器の素朴な温もりは、和はもちろん、洋菓子とも好相性なんです。今回は、小春日和に、ほっこりと楽しみたいスイーツをご紹介。ちょっとした、おもたせにもおすすめです。
読者お買上げプレゼント
9月6日(水)→10月5日(木)の期間中、「DEPARTOLOGY(デパートロジー)」のWEBページをご提示のうえ、CONTENTS.1でご紹介した本館7階 和洋食器〈銀座たくみ〉にて税込5,000円以上お支払いのお客様、先着100名様に『sweets♥eats』でご紹介したブランドのスイーツ(1種類)と引き換えができるチケットをさしあげます。※お買上げ1回につき1枚プレゼント引換券をさしあげます。※プレゼントは1組様につき1点限りとさせていただきます。※期間を過ぎた場合はご利用いただけません。※引換券1枚につき〈両口屋是清〉をちこち(半棹)、〈京菓匠 鶴屋吉信〉京観世個包装(2個)、〈ブールミッシュ〉グランリュクス(4個入、マドレーヌ、チョコオレンジケーキ、メープルアーモンドケーキ、いちごバターケーキ各1)のいずれか1点と交換でき ます。※準備数に限りがございます。予定数に達した際はご容赦ください。