アートへの挑戦

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スペシャルコラボレーション 特集記事

五代龍村平藏 襲名記念 〜和の躍動 和の解放〜

観て感じ、装い豊かに。
アートに昇華する錦帯。

2024年9月に襲名した、五代龍村平藏。130年続く「龍村美術織物」と高島屋がともに手がけてきた「龍村錦帯」に新たな息吹をもたらす。人気の日本画家、福井江太郎さんの名画を錦帯に。それぞれの想いがひとつになった特別な錦帯、その完成までの物語である。

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帯の銘は五代によるもの。左の菖蒲は「誕」。原画はラピスラズリから作られた岩絵具で描かれているが、本作は濃瑠璃色の色糸などを組み合わせて再現。
右の薔薇は「躍」。煌びやかな箔を背景に用いて、上品かつ華やかな錦帯に仕上げた。
(左)袋帯「誕」1,628,000円
(右)袋帯「躍」1,683,000円 いずれも日本橋店限定

かつて龍村の先代たちも自らのテーマと真摯に向き合ってきた。五代龍村平藏(以降、五代)にとってのそれは、「和の躍動 和の解放」。円熟の技を新たな視点で開花させることを襲名の際に誓った。その大きな一歩となったのが、日本画家、福井江太郎さんとともにつくりあげた〝鑑賞する〟錦帯である。

「長く美術織物としながらも、あくまでも帯は衣裳と、今まで実際に帯を〝アート〟として掛けて楽しむという発想にまでは、至っていなかったように思うのです」

もともと福井さんの絵が好きだったという五代。「私の活力となる絵。襲名を記念してのまたとない機会に、僭越ながら原画以上のものをと奮い立ちました」と振り返る。また福井さんにとっては、自らの絵が織りとなる初めての経験に。

「墨の重なり、しぶきの加減、線の強弱――作家である僕たちにも操作できない〝偶然〟を、織りで〝必然〟にする。一織ひと織の集積。その表現には尊敬しかありません」

フィールドは異なれど、常に美を極めてきた両者こそのコラボレーションとなった。

実は今回、お太鼓の裏側に柄を入れない選択をした。「帯を結んだ際、お太鼓の裏にも同じ柄がのぞく見せ所。しかし絵として掛けたとき、落款の下にふたたび絵が、しかも天地が逆に出てしまう」。福井さんの華をまっすぐに届けたいと、あえて定石を外した。「龍村錦帯」では珍しい取り組みである。

薔薇の帯のたれ先に関しては、通例ならばその茎を伸ばすであろうところ、福井さんの一声で青一色とした(写真参照1)。「『四代なら許さなかったな』という五代のつぶやきが、今も耳に残っていますよ」と笑う福井さんの横で、「効いてますよね」と嬉しそうな五代。伝統を柔軟にとらえたことで拓かれる新境地。さらに今回、織り手には次世代の職人を起用した。「一流の絵の筆致、息づかいを感じ、学び取って、美という〝見えない糸〟を織る心を養ってほしい」と期待を寄せる。

福井さんはこの錦帯を「着る美術品」と呼ぶ。「まさしく。着用しないときはリビングに飾っていただければ本望。それに、しまい込まず、いつも見られていたほうが帯も嬉しいはずなので」。

こんなにも自由で、しなやかな錦帯。言うなればそれは五代の目指す龍村の姿そのものなのである。

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写真参照1:
蒼、碧、青…神秘的な濃淡の表情を、大胆にたれ先に。

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グローバルに活躍する福井江太郎さん。2年前には市川團十郎白猿襲名の祝幕を任された。「襲名という新しい門出を一緒に祝えるのは本当に喜ばしいものです」。

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「誕」を織った大塚亮さん(左)と「躍」を織った豊田将士さん(右)。

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お太鼓の柄もさることながら、実は見た目以上に難度が高いのが地色の部分という。

※掲載した錦帯は日本橋店限定商品となります。お問い合わせは日本橋店(03-3211-4111(代表))までお願いいたします。

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※価格は消費税を含む総額にて表示しております。