
2026.07.14up
「輪島塗を未来にTSUNAGU」、
漆人たちとの出会い
震災から2年を迎えた2026年1月7日(水)から13日(火)、高島屋日本橋店では「輪島塗を未来にTSUNAGU〜うるしと暮らし〜」を開催。日本を代表する伝統的工芸品である輪島塗を絶やさず、未来につなげていくために企画。輪島塗の新作紹介をはじめ、職人による実演、トークショーなどを実施し、多くのお客様にご来店いただきました。高島屋は「職人の仕事を絶やさない」こと、「輪島塗を多くの方に知っていただく」ことが技術伝承・地域復興の一助になると考え、継続的な支援を行っていくことを目指し、2024年度からこの取り組みを行っています。2回目となる今回、ご協力いただいた輪島塗に携わる方々や取り組みをご紹介します。
日本の漆芸の担い手を育成する石川県立輪島漆芸技術研修所。
イベントの会場売上の一部は、石川県立輪島漆芸技術研修所(以下、研修所)を通じ、輪島塗復興支援に役立てられています。研修所は、人間国宝(重要無形文化財保持者)が、日本の漆芸の技術伝承者の養成を行う歴史ある施設です。2024年1月、能登半島地震によって校舎が大きな被害を受け、休校を余儀なくされました。しかし、所長の小森邦博氏(人間国宝 漆芸家 小森邦衞)を筆頭に、今年いっぱい再開は無理だろうと言われていた状況を跳ね返し、2024年10月には授業を再開。2025年11月には震災後初となる卒業生を送り出すことができました。
「2024年の冬は教室に暖房がなくて、ストーブで対応。2025年の夏もエアコンが入ったのは7月の中頃過ぎで、一番暑い時に冷房がないような状態で研修生に授業を受けさせてしまい、所長として申し訳ないという思いはいっぱいありました。そんな困難の中、仕事をきちっと成し遂げてくれた研修生に対して、感謝したいと思います」と小森氏。研修所を巣立った研修生たちは、困難を乗り越え、新たな漆人として活躍してくれることでしょう。
石川県立輪島漆芸技術研修所 所長 小森邦博氏
被災した輪島塗御膳揃いを救出して再生し、今の暮らしに。
〈輪島キリモト〉代表の桐本泰一氏が参画する、「輪島塗Rescue & Rebornプロジェクト」。この活動は、イタリアンを提供する宿のご夫妻が、震災後に災害ゴミとして捨てられそうになっている輪島塗御膳揃いを見て心を痛め、桐本氏に連絡したことから始まりました。「捨てるのでしたらお譲りください」というお声がけによって集まった輪島塗御膳揃いを、新たな器に生まれ変わらせています。古くは江戸時代後期の器など、使いこまれて傷がある器もありました。そこで表面を炭で研いで、非常に細かなペーパーで磨き、朱合漆という上塗り漆を塗り重ねることで、赤ワインのような透き溜色に生まれ変わらせたのです。また、桐本氏はうつわの再生にとどまらず、若いお客様にも輪島塗の魅力を伝えていきたいと、SNSでサラダをお洒落に盛り付けた輪島塗の写真を投稿するなど、従来の“和食の器としての輪島塗”だけではない新たな輪島塗の魅力の発信にも取り組まれています。
〈輪島キリモト〉代表 桐本泰一氏
職人による輪島塗の表面を炭で研ぐ作業
輪島塗のテーマパークとして始動する「輪島塗ヴィレッジ」。
〈田谷漆器店〉代表の田谷昂大氏が案内してくださったのは、輪島塗のテーマパーク「WAJIMANURI VILLAGE(輪島塗ヴィレッジ)」。ギャラリーや工房をはじめ、輪島塗を中心に人が集まることができる場所です。現在、輪島で新たに建築物を造るとなると、建築業者も少なくなかなか順番が回って来ないため、非常に時間がかかります。トレーラーハウスやコンテナハウスは、運んで来てすぐ使えるという利便性があり、本社社屋があった場所を活用して新たな活動を始めるにはぴったりだったのです。「輪島の復興が進み、未来予想図がどうなるかわかった時点で本社社屋を建てたいので、それまでの間はこのような形で運営をしていきたいと思います」と田谷氏。「一般のお客様も気軽にギャラリーや職人の作業風景をご覧いただくことができますので、ぜひお立ち寄りいただきたいですね。僕らが小さかった頃は、朝市が賑わい、振り売りで魚を台所に届けてくれる方がいたり、能登半島らしい文化が残っていました。震災により、そういった文化が途絶えそうになっていますが、僕らがしっかりと輪島にたくさんの人を呼び込みたいですね」
WAJIMANURI VILLAGE(輪島塗ヴィレッジ)
輪島塗ヴィレッジ内での作業風景
伝統工芸としての輪島塗が今の暮らしに寄り添い、人々の心を豊かにしてくれるものであることを願って。高島屋では、これからも「輪島塗を未来にTSUNAGU」ために、輪島塗に携わる方々と協力し、新たな取り組みを進めてまいります。

