理英会監修 こちら、お悩み相談室。

vol.9

年長さんになる前に
家族でしておいたほうがいいことは?

2025.3.25 UP

「来たるその⽇」に向けて、みなさまと⼀緒に取り組むべく、「お受験」に関する悩みや疑問を理英会の先⽣に伺ってきました。このコラムが、何かのお役に⽴てれば幸いです。

A.
多くの経験をさせてください。
5つのポイントでご説明します。

1.〈年長さんになる準備として〉

4月になって年長さんになると、年中や年少の小さなお子様のお世話をする立場になります。
お子様にお兄さんお姉さんになるという自覚を持たせることは大事で、年長さんになる自覚や準備ができていれば、4月以降グーンと成長していくものです。
では、年長さんになる準備とは何でしょう?
それはとても基本的なことで「自分のことができる(着替え他)」「挨拶ができる」「相手の気持ちがわかる、助けてあげられる」などです。
こういうことができる子は、幼児期として「自立している子」と言え、年長さんになるにあたってご家庭でそういうお子様になるよう育てたいですね。

2.〈自立する、とはどういうこと?〉

「自立」というとハードルが高く感じるかもしれませんね。では具体的に、どのように身につけさせていくのかを考えてみましょう。
まずは、お子様にひとつお手伝いをさせてください。
「お風呂の栓を抜く」「お箸を並べる」「カーテンを開ける」など簡単なことで構いません。たとえば「カーテンを開ける」など、なんでもないことを日々やり続けるポイントは、お子様がカーテンを開け忘れたときです。
そんな時は、親が代わってカーテンを開けたりせずに「今日はなんだか暗いわねぇ」と言ってみてください。そこでお子様は、暗い室内を感じ自分の役割に気づいてカーテンを開けるはずです。
「〜しなさい」という親の指導ではなく、お子様自身に気づかせる。この気づきが責任を感じる一歩、自立(自分で自分の役割をしっかりとする)の一歩になります。
また、お手伝いができた日はカレンダーにシールを貼って、お手伝い達成の見える化も大事ですね。なんでもないことでも、できるたびに褒めて自己肯定感を高めてあげると、自ら積極的に行動する意欲のある子に育ちますし、続けられた達成感はお子様にとって大きな自信になります。

3.〈自立する子は何ができるの?〉

お手伝いを続けて「役立った、喜ばれた、うれしいな」という気持ちを育てることで、お子様は責任感を持ち自立していきます。
年長さんになる、そしてその先も見据えて、ぜひお子様の自立する心を育てていってほしいと思います。
責任を持つことに喜びを感じるお子様は、お受験でも良い結果につながる可能性が高いです。
合わせて自立に関して言えば、たとえば「もしお友達がケガをして泣いていたら、あなたはどうする?」というような試験問題が出た場合、お子様自身の頭で考え、解決できるような対応が求められます。
大人の自立と違って子供の自立のポイントは、自分で自分のことを考えたり、人に頼らずどうにかしようと行動することができるようになる、「問題解決能力が身につくこと」と考えて良いでしょう。

4.〈お受験に必要な、解決する力〉

問題解決能力はお受験に必要な力です。その力を身につけ伸ばしていくためには、お子様にいろいろな経験をさせてあげましょう。
一つの例ですが、転んで膝をケガして血が出て泣いた、そういう経験はどのお子様もあることです。自分が経験したことがあるので、お友達が同じようにケガをして、血が出て泣いている場面に出会った際に、お友達がどんな気持ちかわかり、どのようにしてあげたらよいのかがわかります。
「相手の気持ちをどう考えるか?」「自分からどう声をかけるか?」そういう質問はお受験の面接や個別課題の試験問題に多いです。知識も大事ですが、経験させることはもっと大事。楽しい経験だけじゃなく、失敗した、困った経験も重要です。
また、ぺーパー等の問題なども同じように体験、経験がとても大切です。幼い時期は主観的思考が普通であり、論理的に教え込みをしても理解できないことがあります。
経験という裏付けの蓄積が積み重なってはじめて、論理的思考へとステップアップしていきます。経験により筋道の立った考え方ができるようになるのです。

5.〈子も親も成長する良いタイミング〉

年長さんの先には小学校入学が待っています。これまでお子様についてお話ししてきましたが、このタイミングでお父様お母様も一度立ち止まって、子育てについて考えることをおすすめします。
「どういう子供に育って欲しいのか」「こういう教育方針だからこの学校に入学させたい」など、親がじっくり考えて決めることができたら良いと思います。
お子様の性格、好きなこと、得意なことや苦手なこと、今一度思いおこしてここから将来を想像し教育方針を決める。お子様がお兄さんお姉さんになるという良いタイミングで親も子育てにしっかり向き合い、親としてワンステップ成長してほしいと思います。

【お話を伺った先生】
理英会 原 恵美先生
考える力が楽しく身につく体験型授業を取り入れている幼稚園・小学校受験塾「理英会」の第一線で活躍するベテラン講師。約25年間の指導歴の中で、1千人以上のご家庭の夢を叶えてきた実績のある教育アドバイザー。

page top