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Vol.2 パノラマとしての百貨店 2019年6月5日(水) -8月4日()

19世紀末から20世紀のはじめにかけて登場してきた「百貨店」は、「商品」への新しい視点をつくり出しました。多くの商品をながめ渡す、パノラマ的な視点。建築も中央に大きな吹き抜けをつくり、見渡しのよい空間を構築。自由で楽しいウインドーショッピングも生み出しました。商品は販売されるだけのものから情報としての役割へ。それらは時代を映し出す鏡、生活スタイルの提案になりました。また日本の百貨店は、明治以来、美術や工芸、さまざまなデザインのミュージアムとしても機能してきました。本展では、そんな文化のパノラマ装置としての百貨店をご紹介しました。

企画展

パノラマとしての百貨店 2019年6月5日(水) -8月4日()

セミナー

パノラマとしての百貨店 登壇者: 柏木 博(デザイン評論家/武蔵野美術大学名誉教授/本展ディレクター) 2019年6月15日(土) /14:00~15:30

国内屈指のデザイン評論家であり、大学でも教鞭をとってこられたデザイン研究者である柏木博氏。近現代のデザインを文化史としての側面からとらえる研究のなかから、百貨店の果たした役割を紐解きます。ヨーロッパ都市に登場した時代から、日本に定着し今日に至るまで歴史をつづりながら、百貨店はパノラミックに世界を見る「視覚文化」の重要な装置だったことが解き明かされてゆきます。

<セミナーのポイント>

  • モノが伝える西欧文化
  • 百貨店の原型「パサージュ」
  • パノラマ的視点とともに生まれた百貨店
  • 百貨店の時代は女性と子供の時代
  • 世界の情報がモノとしてやってくる百貨店

イメージ画像 上段左[撮影:柏木博]/上段右・下段右[所蔵:高島屋史料館]

ファッションと百貨店 登壇者: 井上 雅人(武庫川女子大学准教授) 2019年7月6日(土) /14:00~15:30

大学で日本のファッション史を研究し教鞭をとる傍ら、仲間とセレクトした服やアクセサリーと本を揃えたショップを運営する井上雅人氏。日本ではもともとあった和服文化の上に、近代に入って輸入された洋服文化が定着してゆきますが、そうしてできた複雑なファッションの歴史を語っていただきます。その背景には、流行の最先端として発信を続けてきた百貨店の存在がありました。膨大な資料と共に、その変遷を辿ります。

<セミナーのポイント>

  • 百貨店はいつも批判の対象?
  • ファッションの発信は百貨店から始まった
  • 戦前のトレンドは着物の流行柄
  • 戦後の洋裁教室が洋服文化を後押し
  • 学ぶ場としてのファッションショー
  • 海外ハイブランドを日本に紹介
  • 百貨店は日本のファッション情報発信基地
  • 「日本ブランド」「日本人デザイナー」の確立地

イメージ画像 左[所蔵:高島屋史料館]/中下[出典:『モードェモード No.107、1967-68 年秋冬パリコレクション特集号』モードェモード社、1967 年]/右[提供:井上雅人]

こどもと百貨店 登壇者: 神野 由紀(関東学院大学教授) 2019年7月13日(土) /14:00~15:30

明治末の日本に誕生して以来、消費文化の中心となってきた百貨店。大正・昭和初期にかけての生成過程において、多くの商品・広告デザインが生み出され、日本の消費社会は成熟してゆきます。なかでも百貨店を舞台に急速に発展したのが子ども向け商品。長年、近代のデザイン・文化史を研究してきた神野由紀氏が、その舞台裏を解説します。

<セミナーのポイント>

  • 流行を生み出し、都市文化をリードする百貨店
  • 子ども用品の需要――「教育」と「玩具趣味」
  • 百貨店の子ども用品1――おもちゃ・文房具
  • 百貨店の子ども用品2――子ども服、子ども部屋
  • セット商品と慣習行事を企画した百貨店
  • 子ども向けのデザインと娯楽の開発

イメージ画像 上段右[所蔵:田中本家博物館]/下段左[所蔵:土井子供くらし館]/
下段中[所蔵:高島屋史料館]/下段右[所蔵:高島屋史料館]

住まいとデザイン 登壇者: 中村 好文(建築家/多摩美術大学客員教授) 2019年7月28日() /14:00~15:30

日本を代表する住宅建築家・中村好文氏がめざすのは、常に人に寄り添う建築。その魅力はたくさんの人を惹きつけて、人気を呼んできました。特に住宅は、暮らしを支える大切なデザイン。仕立屋が、一人一人の身体に合わせて洋服を仕立てるように、その人の暮らしに合わせたデザインを心がける中村氏の珠玉の住まいが紹介されます。

<セミナーのポイント>

  • 普段着を仕立てる仕立屋のような建築家になりたい
  • デビュー作となった〈三谷さんの住宅〉
  • 普段着の仕立屋のような建築家に
  • 仕立てた住宅の実例
  • 上総の家Ⅱ '92, '08 住み継ぐ住宅
  • ヒナカナハウス '08 北国の家
  • 芦屋の住宅 '10 高齢者の住まい
  • Boulangerie JIN '10 働く建築
  • 京の温所・釜座二条 '18 仕立て直して住み継ぐ家
  • CLIFF HOUSE / CLIFF HUT  '03, '14 仕立屋の終の住まい

イメージ画像 上段右・下段[提供:中村好文]

インテリアデザインの普及と近代の生活文化 登壇者: 橋本 優子(宇都宮美術館専門学芸員) 2019年8月3日(土) 14:00~15:30