民藝沼にハマるバイヤーが語る!何度も沖縄に通って見つけた沖縄民藝の魅力
「民藝」という言葉が生まれてから100年。
高島屋は民藝運動の初期から、その魅力を長年にわたり紹介してきました。
100年にわたり民藝と関わってきた高島屋の、民藝をこよなく愛する担当バイヤーが、“民藝にまつわるさまざまな魅力”を連載でお届けします。
今回は、日本橋店と大阪店で開催する展覧会「柳宗悦が出会った沖縄の美 琉球の民藝」のテーマである沖縄の民藝をクローズアップ。バイヤーが現地で触れた沖縄の暮らしや手仕事の魅力を、同時開催となる「民藝展」(展示・即売)でご覧いただける、品々を通じてご紹介します。
沖縄の民藝の特徴
沖縄の民藝ならではの魅力
沖縄の民藝は、土地の暮らしの中で育まれ、特有の歴史・文化が色濃く表れています。
琉球王国の歴史・島の自然・人々の生活・戦後復興・異文化交流といった背景が重なり、育まれてきたのです。沖縄の民藝の魅力の源となっている一例として、以下のような点があげられると思います。
・色彩の豊かさ
海や空、南国特有の植物や花、生きものを映したような鮮やかな色使い
・異文化と溶け合ったデザイン
琉球王国の頃に中国、日本、東南アジアとの交易が盛んで、文様や形に多様な文化の影響が見えます。
・暮らしの中で使われ続ける実用性
美術品として飾られるだけでなく、器や民具など今も日々の暮らしの中で使われ続けています。
柳宗悦を魅了した「宝の山」
柳宗悦とともに民藝運動を進めた陶芸家の濱田庄司と河井寛次郎は、若き日に沖縄を訪れ、陶芸のみならず、沖縄という風土が持つ様々な魅力に強く影響を受けました。柳の沖縄訪問は、1938年に初めて実現。伝統が色濃く残る沖縄文化に深く感銘を受けた柳は、著書でその価値を「宝の山」と表現しました。
沖縄の民藝の品々は?
バイヤーとして、ものづくりの現場や歴史を知ることができる場に足を運んだ際に見聞きした話を交えながら、沖縄の今に続く民藝の品々をご紹介します。
やちむん
やちむんとは、沖縄でやきものを意味する言葉。沖縄のやきものの歴史は約400年前にさかのぼります。現在では壺屋や読谷村の窯場が有名です。
これらのやきものは、日常の器として厚みがあり丈夫で、食卓に自然と馴染みます。鮮やかな色彩や、魚文、唐草、点打ちなど、自然を題材にした素朴な文様に、南国ならではの生命力が表れています。
沖縄初の人間国宝・金城次郎は、壺屋時代に濱田庄司と出逢い、その後柳宗悦の影響を強く受けた陶芸家でした。
戦後、沖縄の陶芸の中心は壺屋焼でしたが、市街地として発展して薪窯を焚くことができなくなり、金城次郎が工房を読谷村に移しました。これが読谷、やちむんの里の誕生のきっかけとなったといわれています。
読谷山焼北窯は1992年に創設された4人の親方のいる共同窯で、現在も多くの弟子たちと協力して登り窯を焚き、やきものを作っています。「厳しい自然と向き合いながら、簡単ではない手法で、沖縄らしい暮らしのやきものを生み出すことにやりがいを感じる」と、親方のおひとりが語っていました。
琉球ガラス
戦後、米軍の廃瓶を再利用したことから発展した吹きガラスです。
厚みのあるやわらかな形状、気泡をいかした素朴な風合い、沖縄の海や空を思わせる鮮やかな色彩が特徴です。少し大きく重く感じるところは沖縄らしさとも言えます。安定感のあるつくりで使いやすく、長く使うほどに愛着が深まります。
廃ガラスを使用すると製造過程で冷めやすく固まるのが早いため、時間との勝負です。職人同士が呼吸をあわせて基本を大事にしながらも、スピード感ある作業で製造されていました。
「民藝展」(展示・即売)の会場では、1952年創業、琉球ガラス工房のひとつである「奥原硝子製造所」の品々をご紹介します。
紅型 (びんがた)
※日本橋店、大阪店で開催する「民藝展」(展示・即売)の会場で販売。
琉球王国時代から伝わる染織技法で型紙を使用して染めあげる、南国の日差しに映える鮮やかな色彩と、素朴で味わいのある図柄が特徴です。展覧会「柳宗悦が出会った沖縄の美 琉球の民藝」では、古い紅型の衣裳や風呂敷、型紙などが多く展示されます。
異国の文化の影響を受けながらも、独自の美を育んできた紅型は、現在も着物や帯、小物などさまざまな形で受け継がれています。
「民藝展」(展示・即売)では、現代の暮らしの中で紅型の魅力を感じられるようなインテリアのパネルやタペストリーなどを中心にご紹介します。
石獅子 村や家を守る魔除け、守り神
石獅子は、沖縄各地の集落の入り口や道、辻などに置かれている石造りの守り神です。
魔物や災いを防ぎ、火災や疫病から人々や集落を守るために設置されてきました。村落獅子は、一体ごとに表情や姿が異なり、その独特な力強さに引き込まれます。現在も地域の人々に大切に守られ、沖縄の歴史や文化、信仰を今に伝える存在として親しまれています。
今の暮らしでは、やきものや漆喰で作られた屋根獅子や、門扉の両側に置かれるシーサーが主流ですが、そのルーツはこの石獅子にあるといわれています。
民具
島に自生する植物を生かし、人々の知恵から生まれた、暮らしの中で当たり前に作られ、使われてきた生活道具。それが「民具」です。
クバ(ビロウ)やアダン、竹、月桃などを加工・乾燥させて材料として使用し、かごやざる、うちわ、敷物、履物などに仕上げます。軽く丈夫で通気性や耐久性があり、亜熱帯の気候に適した実用性を持ちます。
こうした民具は、特別な職人が作るものではなく、自然の恵みを余すことなく活用するという精神のもと、受け継がれてきました。かつては誰もが作ることができる身近な道具として、暮らしの中で使われていたそうです。しかし、時代の変化とともに代替する素材や製品がどんどん増え、沖縄ならではの生活文化が消えていく可能性も高くなっています。
沖縄の植物を使った民具の魅力は、工芸品としての価値だけではなく、人々の暮らしを支えるために生まれ、長く受け継がれてきた「生きること」と向きあった道具であるという背景にもあるように思います。
沖縄には、他にも芭蕉布やみんさー織、琉球漆器といった沖縄らしいものづくりがあり、素材もものづくりの技も多様です。
沖縄民藝の魅力をより深く展覧会で!
担当バイヤーとしてこの1年、展示・即売する催事「民藝展」に向けて、沖縄に何度も足を運びました。
作り手や研究者などさまざまな方と対話する中で感じたのは、沖縄の民藝は単に工芸品、ということではなく、今も暮らしの中に息づいている文化そのものであるということでした。
観光地として親しまれている沖縄には、まだ多くの方に知られていない豊かな手仕事の世界があります。
実際に産地を訪ね、品物の背景にある歴史や風土、人々の暮らしに触れることで、沖縄民藝の魅力をより一層深く感じることができました。
本記事でご紹介した作り手の品々には「民藝展」(展示・即売)の会場でご覧いただけます。この機会に、ぜひご来場ください。 (※いずれも数量に限りが有ります。)
また、沖縄の暮らしの中に根付いた手仕事の品々が放つ魅力を、歴史や文化とともに紹介する展覧会「柳宗悦が出会った沖縄の美 琉球の民藝」を、「民藝展」(展示・即売)とあわせて開催します。
会場では、日本民藝館所蔵の琉球民藝コレクションを中心に約100点を展示。文化映画「琉球の民藝」も上映し、戦前の沖縄の風景や暮らし、芸能文化が息づく風土をご覧いただけます。
「柳宗悦が出会った沖縄の美 琉球の民藝」
【日本橋店】
会期:2026年8月26日(水)〜9月6日(日)
会場:日本橋高島屋S.C. 本館8階 ホール
【ご入場時間】
午前10時30分~午後7時(午後7時30分閉場)
※最終日は午後5時30分まで(午後6時閉場)
【大阪店】
会期:2026年9月9日(水)~21日(月・祝)
会場:大阪高島屋 7階グランドホール
【ご入場時間】
午前10時~午後6時30分(午後7時閉場)
※最終日は午後4時30分まで(午後5時閉場)
入場料:一般1,200円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料
「柳宗悦が出会った沖縄の美 琉球の民藝」について詳しくはこちら >>
本展覧会の見どころについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
柳宗悦はなぜ沖縄を「宝の山」と呼んだのか? 展覧会「琉球の民藝」の見どころを催事担当者が解説 >>
展覧会で沖縄民藝の歴史や背景に触れたあとは、ぜひ「民藝展」(展示・即売)にもお立ち寄りください。
今回ご紹介した作り手のものが一堂に揃い、実際手に取ってその魅力を感じていただけます。

3年ぶりの開催となる今年の「民藝展」は、民藝の理念にある地域性に立ち返り、各地の郷土・文化を受け継ぐものづくり、民藝のスピリットを持つさまざまな作り手の品々をご紹介。
さらに民藝について理解を深める、イベント(トークショー・ワークショップ)も開催いたします。
展示・即売「民藝展」
【日本橋店】
会期:8月26日(水)~9月7日(月)
※各日午前10時30分~午後7時30分
※最終日は午後6時閉場
会場:本館8階 催会場ほかに
●本館1階 正面イベントスペース
8月26日(水)~9月1日(火)
●本館7階 ギャラリー暮らしの工芸・民藝のわ
8月26日(水)~9月8日(火)
※最終日は午後4時閉場。
【大阪店】
会期:9月16日(水)~21日(月・祝)
※各日午前10時~午後7時
※最終日は午後6時閉場
会場:7階 催会場
展示・即売 「民藝展」について詳しくはこちら>>
※情報は随時更新されます。
◆Tバイヤー:
民藝の担当歴約13年。入社以来20年以上、リビング系ひとすじ。「民藝を語らせたら話が長い!」特に好きな素材は「漆」。漆器や陶器に囲まれた暮らしを好み、国内産地に足を運ぶのがライフワーク。
◆Kバイヤー:
民藝新任バイヤー。入社後、大阪店のリビングカテゴリーの売場に配属。なかでも、家具売場の担当が最も長く(8年間)、民藝については「日々、勉強中!」。特に好きな素材は「木」と「陶」。むかしから民藝に興味があり、民藝展のたびに商品を購入。現在も出張のたびに各地の民藝商品を衝動買いしてしまう。
※内容は2026年8月21日現在のものです。
※会期・内容等が変更・中止となる場合がございます。
※商品写真も含め、写真はすべてイメージです。

