民藝沼にハマるバイヤーが語る![わら細工たくぼ]、原材料から手がける「作り手の想い」編
「民藝」という言葉が生まれてから100年。高島屋は民藝運動初期から、長年にわたり民藝の魅力をご紹介してきました。100年民藝と関わってきた高島屋が次の100年を見据え、新たな取り込みをスタートした本年。民藝をこよなく愛する担当バイヤーが、民藝にまつわる“色々”を連載でご紹介していきます。
2回目の今回は、『綯吉-TOKICHI straw works-』を個人制作ブランドとしても手掛けられる甲斐陽一郎氏が代表を務められている[わら細工たくぼ]のものづくりやその背景、作品についてフォーカス。宮崎県日之影町で原材料となる「わら(藁)」を育て、しめ縄や縁起物のわら細工飾りを手がける、地域の暮らしに根付いたものづくりをご紹介します。
[わら細工たくぼ]の歩み


高千穂郷という土地


地域とともに続く役割
11月から12月にかけて、[わら細工たくぼ]の工房では地元のしめ縄作りに専念します。母屋や納屋、牛小屋など、一軒の家で複数しめ縄を張られるほど暮らしに馴染み大切にされている風習が残る高千穂郷。年末が近づくと多くの地元の方がたくぼのしめ縄を求め工房を訪れます。
原材料を育てるということ
籾種から苗を育てるところから始まる米作りや田んぼ仕事は、草刈り、水の管理、真夏の青刈り、台風への備えなど、休む間もありません。収穫後も、稲わらを雨から守るため、夜中に田んぼへ向かうこともあります。
わら細工に込められた祈り


[綯吉(とうきち)-TOKICHI straw works-]
![[わら細工たくぼ]代表・甲斐陽一郎氏](/image/_KAW7698.jpg)
![[綯吉]straw charm](/image/追加画像(キーホルダー).jpg)
![[綯吉]稲藁のArtwork](/image/8B610B01-4D1B-442E-9FE3-52489EBF2844-64526-00000CB6E4615938.jpg)
額は静岡の指物職人 戸田勝久さんが招福や魔除けなどの意味を持つ国産の槐(えんじゅ)の木を使い、素材や結びの表情、その陰影がより一層美しく際立ち、映えるような意匠を添え形づくられています。ご新築やご結婚など人生の節目となるような記念すべき日、特別な時間を暮らしの傍らへ美しく留めてくれます。
■■「民藝のわ」公式インスタグラム■■
※価格は消費税を含む総額にて表示しております。
※価格・内容は2026年5月12日現在のものです。
※品数に限りがございますので、売り切れの節はご容赦ください。
| 前回の記事はこちら: 民藝沼にハマるバイヤーが語る、『民藝の歴史と高島屋』 >> |
[わら細工たくぼ]の歩み
田んぼから始まるものづくり

©川しま ゆうこ
1957年、農閑期の仕事として地元の日常に根ざしたしめ縄作りから始まった[わら細工たくぼ]。宮崎県日之影町の山あいに広がる棚田で、家族や仲間とともに稲作を続けながら、一粒の籾種から育てた青わらや稲わらを素材に、ものづくりを行っています。
©川しま ゆうこ
受け継がれてきた伝統技術を大切に守りながら、現代の暮らしに寄り添う形へと進化させ、縁起物のわら細工飾りやしめ縄を、一つひとつ丁寧な手仕事で制作。暮らしの中に清々しさとあたたかさを添えたいという想いで、真っ直ぐにわらと向き合い続けています。原材料は、制作するものにあわせて使い分けています:
■青わら:
■稲わら: |
高千穂郷という土地
しめ縄文化が息づく場所

©川しま ゆうこ
[わら細工たくぼ]が拠点を置く宮崎県北部・高千穂郷は、日本神話の舞台として知られる土地。神楽やしめ縄の文化が今も深く根づき、お正月に限らず一年を通してしめ縄が張られる、全国でも珍しい地域です。

©川しま ゆうこ
天岩戸伝説に由来するとされるしめ縄文化は、この地が「しめ縄発祥の地」と呼ばれる所以でもあります。特に高千穂郷に伝わる「七五三縄」は、縄の両端が細くなり、7・5・3本の房がさがる独特の形。天神七代・地神五代・日向三代とそれぞれが神様を表すといわれています。
地域とともに続く役割
守り、つなぐしめ縄
11月から12月にかけて、[わら細工たくぼ]の工房では地元のしめ縄作りに専念します。母屋や納屋、牛小屋など、一軒の家で複数しめ縄を張られるほど暮らしに馴染み大切にされている風習が残る高千穂郷。年末が近づくと多くの地元の方がたくぼのしめ縄を求め工房を訪れます。

©川しま ゆうこ
一方で高齢化により、稲作やしめ縄作りをやめられる方も増えています。そのなかで[わら細工たくぼ]が担う役割は、年々大きくなっています。稲作とともに育まれてきた「わら文化」を、次の世代へとつなぐ存在です。
原材料を育てるということ
自然と向き合う一年
籾種から苗を育てるところから始まる米作りや田んぼ仕事は、草刈り、水の管理、真夏の青刈り、台風への備えなど、休む間もありません。収穫後も、稲わらを雨から守るため、夜中に田んぼへ向かうこともあります。

©川しま ゆうこ
山あいの棚田での作業は決して楽ではありません。湿気や直射日光を避け、わらの色や質を保つための管理も必要です。自然と向き合いながら原材料を育てる仕事では、「毎年同じようにできる」ということは決して当たり前ではありません。天候や環境の影響を強く受けるため、思い通りにいかないことの方が多いのです。
©川しま ゆうこ
それでも自然と向き合い続け、手間を重ねることで、ようやく「いつも通り」と言える品質の素材が生まれます。「いつもと同じ」は、実はとてもむずかしくて、たくさんの苦労の上に成り立っています。こうした「当たり前ではない苦労」を抱えながら原材料と向き合い、丁寧にものづくりを続けていることこそが、わら細工の美しさを支えています。
わら細工に込められた祈り
結びのかたちが伝える意味あい

画像提供:うつわ 暮らしの道具 テクラ
わらを綯(な)って作る縄には、右綯いと左綯いがあります。この二本の縄を組み合わせて生まれるのがわら細工たくぼの代名詞ともいえる「祝結び」です。

©川しま ゆうこ
水引から着想を得たこの結びは、一度結ぶと簡単には解けないことから「一度きり、悪いことが繰り返されない」ことのたとえとして、家内安全の願いが込められています。末広がりの形は縁起が良く、結婚祝いや新築祝いなど、人生の節目にも選ばれています。
[綯吉(とうきち)-TOKICHI straw works-]
わらの可能性を、世界へ
![[わら細工たくぼ]代表・甲斐陽一郎氏](/image/_KAW7698.jpg)
©川しま ゆうこ
[綯吉]は、[わら細工たくぼ]代表・甲斐陽一郎氏による個人制作ブランドです。素材選びから仕上げに至るまで、一貫してこだわり抜くことで生まれるぬくもりと祈り感じる作品たちは、ドイツやフランス、ポルトガルなどで開催された展示会でも高い評価を得ています。
高千穂郷に根ざした伝統技術を現代の空間に調和する造形へと再解釈し、土地の文化を起点に新たな価値を提案。「わら」という素材の可能性を広げ、時代とともに更新していく存在です。
日本橋店7階リビングフロア SPACE7-③では、5月13日(水)から19日(火)まで、『綯吉-TOKICHI straw works-甲斐陽一郎の仕事』を開催します。甲斐陽一郎氏が手がける「わら文化」の魅力を、ぜひ実際にご覧ください。
(最終日は午後4時閉場)
![[綯吉]straw charm](/image/追加画像(キーホルダー).jpg)
©川しま ゆうこ
[綯吉]straw charm 5,500円
デリケートな扱いが求められる素材ですが、しっかりと素材を選び、手を加えることでわらで出来たものでも持ち歩くことができる、という新たな可能性を届けてくれた作品です。
![[綯吉]稲藁のArtwork](/image/8B610B01-4D1B-442E-9FE3-52489EBF2844-64526-00000CB6E4615938.jpg)
画像提供:うつわ 暮らしの道具 テクラ
[綯吉]稲藁のArtwork 132,000円
「現代の暮らしから遠ざかってしまった稲わらの結びの美しさと力強さを、これまでにない表現方法で暮らしに取り入れていただきたい」。そんな想いが形となりました。額は静岡の指物職人 戸田勝久さんが招福や魔除けなどの意味を持つ国産の槐(えんじゅ)の木を使い、素材や結びの表情、その陰影がより一層美しく際立ち、映えるような意匠を添え形づくられています。ご新築やご結婚など人生の節目となるような記念すべき日、特別な時間を暮らしの傍らへ美しく留めてくれます。
| ■綯吉-TOKICHI straw works-甲斐陽一郎の仕事
会場:日本橋店7階リビングフロアSPACE7-③ 会期:5月13日(水)~5月19日(火) ※最終日は午後4時閉場。 ※甲斐陽一郎氏在廊予定日:5月16日(土)・17日(日) お問い合わせ:日本橋店7階リビングフロア「民藝のわ」 (代表)03-3211-4111 |
※価格は消費税を含む総額にて表示しております。
※価格・内容は2026年5月12日現在のものです。
※品数に限りがございますので、売り切れの節はご容赦ください。

