Artist:
SAIGO NO
SHUDAN

展示場所:
本館1F GRAND PATIO

展示期間:
2026年11月1日〜
2027年2月28日

コーディネーター高須咲恵さんが、毎回1組の国内外の注目アーティストをピックアップし、そのアーティストへのインタビューとともに作品を紹介する企画です。今回登場するのは、映像作品を中心に、アニメーション、絵画、立体、インスタレーション、VJなど、さまざまな表現を横断して活動するアートユニット「最後の手段」。
彼らの作品に登場するのは、どこか見覚えのあるようなキャラクターから名前のつけられない存在まで。画面のなかでは、さまざまなものが姿を変えながら動き続けています。今回は、コハタレンさんと有坂亜由夢さんに、3人の活動の始まりから制作方法、作品を支える世界観、そしてGRAND PATIOで発表する新作について伺いました。

『NEW冬眠』 (2024)

ART

『NEW冬眠』 (2024)

Artist:
SAIGO NO
SHUDAN

展示場所:本館1F GRAND PATIO
展示期間:2026年11月1日〜
2027年2月28日

コーディネーター高須咲恵さんが、毎回1組の国内外の注目アーティストをピックアップし、そのアーティストへのインタビューとともに作品を紹介する企画です。今回登場するのは、映像作品を中心に、アニメーション、絵画、立体、インスタレーション、VJなど、さまざまな表現を横断して活動するアートユニット「最後の手段」。
彼らの作品に登場するのは、どこか見覚えのあるようなキャラクターから名前のつけられない存在まで。画面のなかでは、さまざまなものが姿を変えながら動き続けています。今回は、コハタレンさんと有坂亜由夢さんに、3人の活動の始まりから制作方法、作品を支える世界観、そしてGRAND PATIOで発表する新作について伺いました。

―「最後の手段」はコハタレンさん、有坂亜由夢さん、おいたまさんの3人で活動されています。結成のきっかけはなんだったのでしょうか?

コハタ 東京藝術大学の先端芸術表現科の同級生です。卒業後、亜由夢さんは大学院に進み、僕とおいたまさんは、アーティストを目指して活動していたものの、なかなか仕事もなくて、バイトをしながらふらふらしていました。そんなとき、亜由夢さんのところに映像制作の仕事が来て、2人で手伝ったんです。それがきっかけで、「最後の手段」というチームでやってみようか、となりました。

『映像作家100人2024 - Teaser』(2024)

―「最後の手段」はとても印象的な名前ですが、どのような意味が込められているのですか?

コハタ バンドみたいな名前がいいなと思って、最初は「リーサル・ウェポン」のような、かっこいい名前にしようとしていました。でも、この活動が「これしかないな、これでやってみよう」という気持ちから、本当にラストチャンスだという意味で「最後の手段」になりました。
当時は、こんなに長く続くとは思っていませんでした。最初のCMの仕事でユニット名が必要になり、とりあえず付けた。でもそれを見た人から次の仕事をいただいて、その仕事をやったら、また別の人から声がかかって……という感じで続いてきました。

―映像だけでなく、平面や立体、書籍など、活動の幅も広がっていますね。表現方法はどのように増えていったのでしょうか?

コハタ 子どもの頃って、粘土遊びもするし、漫画も絵も描く。今もそれが続いている感じです。アニメーションをある程度やったから、今度はもっといろいろ遊びたいとか、大きい立体をつくってみたいとか。


有坂 3人それぞれ、やりたいことが少しずつ違うんです。特に規則があるわけではなくて、みんながやりたいことを受け入れていくと、自然と今みたいな形になっていきました。おいたまさんはデザインやイラスト、私は映像、レンさんは絵を描いていて、それぞれ別のことをやっているからこそ、活動の幅も広がっていったんだと思います。

やけのはら『RELAXIN’』MV (2013)

―現在、おいたまさんはロサンゼルスに住まわれているそうですが、制作はどのように分担していますか?

コハタ おいたまさんは、今は映像制作には直接入らず、グッズのデザインやデータ整理などを遠隔でやってもらっています。映像の場合、CGの仕事なら僕が興味があるので担当することが多いです。僕も亜由夢さんも興味があるものなら、最初の絵コンテや内容を考えるところは一緒にアイデアを出し合って、やることが決まったら、亜由夢さんがかなりの勢いでつくっていく。僕らは夫婦なので、その間僕は家事をしています。


有坂 ストップモーションのアニメーションは、ほぼ私が担当しています。


コハタ おいたまさんは、主に応援してくれてますね。客観的な視点をもらえるのも大きいです。年に一度、フジロックでVJをするときには、ロサンゼルスから駆けつけてくれる。お助けマンのような存在です。

―作品には、カエルやタヌキ、カッパのような、どこか懐かしいキャラクターが登場します。一方で、抽象的な形の生き物も多い。登場するものが姿を変えながらずっと動いていて、人間だけを中心に世界がつくられていないように感じます。モチーフには共通するテーマがあるのでしょうか?

有坂 いろんな視点からものを見ることは意識しています。地面から地下を見るとか、地下から地上を見るとか。視点や角度をぐにゃっと変えると、全然違うものが現れたりする。画面のなかのものを固定化させず、常にいろんなものが動いている状態にはこだわっています。


コハタ そうすると、人間の物語ではなくなっていくんですよね。人の感情だけの話ではなくなっていく。初期の頃は、日本の土着的な文化や昔話、神話みたいなものを、もう一回復興したいという気持ちがあり、タヌキやカッパなどもよく出していました。


有坂 作品にテンションをつけようとすると、どうしても主人公を立てたくなる。でも、それが嫌だったんです。主人公を立てずに、いろんなものに焦点があたっていくようなことをずっと考えています。


コハタ みんなが主人公だし、主人公はいない。

『グッナっぷ』 (2023)

―絶えず動き続けるアニメーションは、地球が回転していることを感じないように、目に見えていなくても、実際にはさまざまなものが動き続けているということを表しているのかなと思いました。そうした現象を連続させることも、人間以外の生き物や植物も同じ世界にいる、という感覚につながっているのでしょうか?

コハタ そういうことは、作品を通して伝えたいと思っています。社会にはいろんな問題がありますが、宇宙から見たらどうなんだろう、と考えることがある。地球を遠くから見たら、一つの光にしか見えないかもしれないし、いろんなものが融合して見えるんじゃないかと思ったりします。
僕らの星がなくなったとしても、宇宙はたぶん運営されていく。そう考えていると、身近な問題が少し違って見えてくるんです。そういう感覚を、映像やもののなかに入れていきたいと思っています。

―作品には、切り絵や手描きなど、アナログな手法も多く使われています。あえて手を動かしてつくるのはなぜでしょうか?

有坂 いちばん自分にしっくりくるから、というのが大きいです。ずっとやり続けてきたことでもあるし。


コハタ 楽しいんですよね。つくっている過程で起きるよろこびが、僕らにとってすごく重要なんだと思います。体の感覚を信頼しているところもある。こういうものをつくりたい、という意識もあるけど、つくっているうちに体が勝手につくってくれることがあるんです。

―近年はAIによって、画像や映像をつくる方法も大きく変わっています。AIの表現に興味はありますか?

コハタ 興味はありますし、ちょっとやってみたりもしています。でも、AIだと「過程」がないんですよね。僕らは、こねこねしていること自体が楽しい。パソコンを触っている時間より、何かを持って手を動かしている時間のほうが長いし、今のところはそっちのほうが自分たちにとってリアルなんだと思います。

―今回、GRAND PATIOでの展示は、どういったプランを予定されていますか?

コハタ 今は、つくりながら考えているという感じです。つくってみて、できたもののなかから面白そうなものを展示していこうと思っています。あまりコンセプチュアルに決めすぎず、そのときにベストなものを置いていくことになると思います。
新作だけでなく、これまでつくってきたものを、どう置いたら面白く見えるかをいつも考えています。言葉で「こういうテーマで、こう感じてほしい」と限定するというより、空間のなかで映像のような流れをつくっていく感覚があります。

十和田市現代美術館『かいふくのいずみ』展示風景 (2020)

―美術館やギャラリーだけでなく、さまざまな場所で発表されていますね。玉川高島屋S.C.のような、不特定多数の人が行き交う場所での展示はどうとらえていますか?

有坂 ホワイトキューブで展示することのほうが少ないので、場所に対する抵抗はあまりないですね。


コハタ 以前の個展で、何時間も作品を見ている方がいて、「救われた」と言っていただいたことがありました。何がその人に響いたのかはわからないけど、もし作品を見て救われた人がいたなら、それは本当に最高だと思う。基本的には、たまたま見た人が「なんか面白いな」と思ってくれればいいんです。
「これ、自分でもつくれそうだな」と思ってもらえるのもいい。子どもの頃はみんな粘土をこねたり、絵を描いたりしていたわけだから、作品を見て「自分でもつくってみたい」と思ってもらえたらうれしいです。

―最後に、これから挑戦してみたいことはありますか?

有坂 私は、美術館で個展をやってみたいです。映像を大きく映すだけでも、世界がばっと変わる感じがする。大きな空間で見てみたいです。


コハタ 僕は、目の前のことを一つずつこなしていきたいです。海外のフェスでVJをやりたいという気持ちもありますし、もっと「宇宙的な仕事」をしたいという気持ちもある。
以前、熱海の山車を制作する仕事があって、神社に奉納するものだったんです。神様って、ある意味で宇宙だなと思って、「これは宇宙の仕事だ」と感じました。フジロックでのVJも、山に向かって奉納しているような感覚があります。
これからも、そういう宇宙的な仕事をもっとやってみたいですね。どんな宇宙が来るかは、まだわからないですけど。

Artist

最後の手段
Saigo no Shudan


最後の手段は、有坂亜由夢、おいたま、コハタレンの3人からなる、人々の太古の記憶を呼び覚ますためのドリームチーム。2010年に結成。手描きのアニメーションと人間や大道具小道具を使ったコマ撮りアニメーションなどを融合させ、有機的に動かす映像作品などを制作。VJ、イラスト、近年は3DCG 作品や漫画作品等も手がける。

HP: https://saigono.info


高須咲恵

Art Curation

高須咲恵
SAKIE TAKASU


自身がアーティストやキュレータなど様々な立場で活動している背景から、企画から制作まで多様なプロセスをアーティストと共にし、「空間と人と作品の関係」を模索。リサーチベースのプロジェクトにも数多く参加し、特に都市における公共空間で複数の実験的なプロジェクトを展開。アートユニット「SIDE CORE」の一員として活動する他、宮城県石巻市で開催されていた「Reborn-Art Festival 2017」ではアシスタントキュレータとして参加、沖縄県大宜見村で開催されていた「Yanbaru Art Festival」内では廃墟での会場構成を行うなど多くのプロジェクトに携わっている。

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  • Artist:Shiori Ikeno
  • Artist:Keita Miyairi
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  • Artist:Chihiro Mori
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  • Artist:Yuka Shiobara
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