【ツナグアクション】江戸小紋の魅力を深掘り!AI×伝統工芸「令和小紋プロジェクト」に密着

TSUNAGU ACTION(ツナグアクション)について

「21世紀の豊かさ」を考えながら、高島屋がステークホルダーとともに取り組むサステナブル活動「TSUNAGU ACTION(ツナグアクション)」。高島屋各店では、「PLANET」「SOCIAL」「PEOPLE」の3つのテーマに基づき、一人ひとりができる具体的なアクションを提案しています。今回は、地域の伝統や文化を伝え、広げていく「SOCIAL」の取り組みとして、AIを活用し伝統柄「江戸小紋」の新たな可能性を探る「令和小紋プロジェクト」をご紹介します。

江戸小紋とは

カジュアル着物の代表格として知られる柄「江戸小紋」。遠目ではほとんど無地に見える、精緻な紋様を繰り返し型染めしたものです。江戸時代の武士の礼装・裃(かみしも)がルーツで、「鮫」「角通し」「行儀」の三役と呼ばれる格式高い柄は準礼装としても用いられます。

「鮫」、「角通し」、「行儀」.png左から:「鮫」、「角通し」、「行儀」

三役をはじめとする幾何学的に細やかな柄を繰り返す格調高い柄もあれば、「宝尽くし」「七福神」「野菜尽くし」などモチーフがランダムに配置されるユーモアあふれる遊び柄も。シーンや好みで豊富な柄のバリエーションから選べる楽しさや、帯・小物のコーディネートがしやすくワンピース感覚でお召しいただけるのも、江戸小紋の魅力です。

江戸小紋の現在

江戸小紋のイメージ画像

複数のモチーフがランダムに配置される柄を特に「けれんもの」と呼びます。図案作成も実際の制作も難解なこの様式は、熟練職人の感覚と技が必要なため、職人の減少に伴い新柄が生まれにくくなっています。江戸小紋は元々、図案・型紙・染めをそれぞれ別の職人が担う分業体制でしたが、きもの市場の縮小に伴い、その体制は崩壊の危機に瀕しています。現在は図案のみを専門に手掛ける職人はほとんどおらず、型紙職人も残存する型紙の再制作が中心になっています。本来、小紋は流行や風物をモチーフに取り入れて楽しむもの。新作の減少は「暮らしに寄り添う」という小紋の魅力が失われていくことにもなってしまいます。

密着レポ!「令和小紋プロジェクト」

文京学院大学で行われたプロジェクトに参加する学生の皆さんとのキックオフミーティング

受け継がれてきた技が完全に途絶えてしまう前に、職人技をどうにか次の世代につなげられないか。途絶えつつある江戸小紋の技や柄づくりを次世代へつなぐため、新たな取り組みが始まっています。

文京学院大学経営学部の川越仁恵教授は、かねてより過去の作例を分析し、「けれんもの」のデザイン理論を抽出。そのデータを反映させ、モチーフを読み込ませると点描図案を出力する独自のAIの開発を進めていました。

AI を「職人の仕事を奪うもの」ではなく「支えるもの」として活用する考え方に共感し、高島屋と文京学院大学の産学連携「令和小紋プロジェクト」が昨年9月にスタート。試行錯誤を経て、今回のTSUNAGU ACTION WEEKSでついに商品が店頭に並びます。その制作の舞台裏に密着しました。

図案制作

どんな柄の江戸小紋なら、着たいと思ってもらえるだろうか。着てわくわくするだろうか。高島屋呉服部のメンバーと文京学院大学の学生によるフレッシュな視点から生まれたアイデアをAI活用よりビジュアル化。 採用されたのが、「オーケストラ」と「葡萄と栗鼠」の2柄です。AIを使った工程は、人の手で描いた線画を点描化すること、点描化したモチーフをランダムに配置することの二つ。ただ、現段階ではどちらの作業も完璧に行えるほどAIの学習が進んでいません。

AIによる点描画と人の手で修正した点描画

点描化では、グラフィックデザイナーが輪郭の抜けを修正。

AIによる配置とデザイナーによる修正

モチーフの配置でも、染めた際に柄のつなぎ目が目立ったり、モチーフに偏りが生じたりするのを防ぐため、染色職人が確認と調整を重ねました。

型紙制作

江戸小紋に使われる型紙には、「伊勢型紙」と呼ばれる美濃和紙を柿渋 で数枚貼り合わせたものを用います。柿渋は耐水性・防虫効果があり、染めの工程に耐え、保管時に虫を避けることができます。

江戸小紋は同じパターンの繰り返しで構成されるため、伊勢型紙制作では最初に図案の最小単位である10cm角の「小本」を作成。

小本の写真

上下左右に切れ目なく繋がるように作られたこの「小本」を墨で型紙に写し取り、職人が彫っていきます。

伝統工芸士 兼子吉生さんによる錐彫り。伝統工芸士 兼子吉生さんによる錐彫り。

伊勢型紙の彫刻技法は錐彫り・突き彫り・道具彫り・引彫り・の4種類あり、柄によって彫り方が異なります。今回制作した「けれんもの」様式に用いたのは錐彫り。刃先が半円状の彫刻刀を回転させながら穴を開ける技法です。

6枚分の型紙を重ねて彫るため、穴が均一に開くように同じ体勢と力加減で彫り進める熟練の技術が求められます。わずかな角度や力加減の違いも、最終的な柄の出方に影響してしまいます 。

完成した型紙完成した型紙

型付け

いよいよ染色工程。最終的に柄が白く浮かび上がるよう、柄部分を糊で覆う「型付け」からスタートします。

伝統工芸士 五月女淳一氏による型付け。伝統工芸士 五月女淳一氏による型付け。

生地を長板に張って固定し、型紙がずれないよう針で固定しながら 糊をヘラで伸ばすと、型紙の彫り抜かれた部分に糊が付きます。糊の原料はもち米・ぬか・塩。配合は染屋に伝わる「レシピ」に基づき、職人の経験によって生地にのりやすいように粘り気を調整します。糊がしっかりと生地に付着していないと、糊が欠けてしまったり、剥がれてしまい、染めたときのムラにつながるため、一定の力加減でヘラを動かすのが職人技です。

型のつなぎ目がわからないよう、「星」と呼ばれる型紙の点を目印に柄をつなぎ合わせる工程を繰り返します。きもの1反分の型付けには約45回程度要します。

型付けが終わった反物。型付けが終わった反物。

しごき

糊が乾いたら、生地全体を染める「しごき染」の工程に進みます。 色糊を反物幅のヘラに取り、絶妙な力加減で生地の上を滑らせ、しごいて乗せていきます。こちらもムラなく均一に色糊をつけていくことが重要です。

伝統工芸士 五月女利光氏によるしごき染め。伝統工芸士 五月女利光氏によるしごき染め。

しごきが終わったら、反物の上からおがくずをかぶせ、水気を吸い取ります。
ある程度乾いてきたら、蒸し、その後洗います。今回は反物の表・裏両面を染めているので、同じ工程を2回行っています。 糊の下で守られていた部分が白く残り、江戸小紋の完成です。

こだわりのカラー

「令和小紋プロジェクト」では、色にこだわり、カラーバリエーション豊富に2柄各5色制作しました。

オーケストラ オーケストラ

葡萄と栗鼠葡萄と栗鼠

特に、両面を異なる色で染めた「オーケストラ 橡(つるばみ) /深緋(こきひ)」、「オーケストラ 樺茶(かばちゃ)/黄支子(きくちなし)」、「葡萄と栗鼠 樺茶/黄支子」は単衣でお召しになると足元や袖口からのぞくカラーがおしゃれで街歩きも楽しくなりそうです。

オーケストラ 橡/深緋オーケストラ 橡/深緋  

葡萄と栗鼠 樺茶/黄支子葡萄と栗鼠 樺茶/黄支子

                         

ちなみに、橡/深緋は劇場のカーテンや指揮者の燕尾服を、樺茶/黄支子は木管楽器・金管楽器、秋の実・落ち葉の組み合わせをイメージした個性的な配色になっています。そのほか「葡萄と栗鼠 滅紫(けしむらさき)」、2柄共通色の曙(あけぼの)、水浅葱(みずあさぎ)、若竹(わかたけ)は両面共色で製作しました。

江戸小紋は遠目で見ると無地に見えることから、「色で着る」と言われています。店頭ではお好きなお色に別染をすることも可能です。ぜひお気に入りのお色でワクワクする江戸小紋をお仕立てください。

TSUNAGU ACTION
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「令和小紋プロジェクト」
POP UP INFORMATION

10月7日(水)~13日(火) 
■日本橋店 本館7階 呉服サロン

10月21日(水)~27日(火) 
■京都店 百貨店5階 呉服売場

11月4日(水)~10日(火) 
■大阪店 6階 きもの売場

11月18日(水)~24日(火) 
■ジェイアール名古屋店 11階 呉服売場

12月2日(水)~8日(火) 
■横浜店 7階 特選呉服

12月16日(水)~22日(火) 
■新宿店 11階 呉服サロン


※上記の期間は全作品を展示販売いたします。
※お渡しはお仕立て後2027年1月以降となります。
※ご希望の色の染色も承ります(承りから約3カ月後のお渡し)。詳しくは売場係員までお尋ねください。
※詳しくは各店ホームページをご覧くださいませ。
※売り切れの際はご容赦くださいませ。

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