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茶懐石の心を
おせちにこめて

京都・南禅寺畔で創業し、
四百年あまりの歴史を持つ
懐石料理の名店、瓢亭。
名店だからこそ味わえる、
おせちの魅力とは?

京都を代表する料亭のひとつである瓢亭は、茶懐石を大切にしながら、時代に応じた料理を追求してきた。
 旬の食材を大切にする老舗のおせち料理は、特別なものだという。
「私ども料理人にとって、年末のおせちは大仕事です。普段の料理、お弁当や折詰よりもランクが高い仕事で、たとえば焼魚でも仕上がりの高さや厚み、サイズ感を考えますし、味付けも少し濃い目に仕立てるなど、おせちだからこそやるべき仕事があります」

作りたての味を
大切にお客様へと届ける

瓢亭15代目当主・高橋義弘さんは「お正月、美味しく食べていただけるように、気を張って作っています」と語る。
 瓢亭のおせちは昔ながらの料理法で、28日から3日間かけて仕上げる。
「あらかじめ漬け込んでおくものもありますが、煮物や焼魚などはギリギリに食材を仕入れるようにしています。食材の風味をなにより大切にしているからです。手間もお金もかかりますが、お客様にはできたての味を楽しんでいただきたい。新年を寿ぐおせちだからこそ、良い食材を美味しく料理したいのです」
 おせちは全体の調和を考え、少しずつ味付けを変えているそうだ。

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お重に詰められた極上の料理を楽しむ

一品の味がしっかりしているので満足度が高く、お酒との相性もよい。
「瓢亭のおせちには仕切りの板などはありませんが、食材を笹の葉や菊葉などで区切りながら盛り込みます。いろいろな料理がぎっしりと詰まっている、にぎやかな印象がおせちの醍醐味だと思うからです。高さがあって仕切りのないお重に料理を綺麗に詰めていくのは難しいんですよ。時間もかかりますが、おせちならではの特別な瞬間を楽しんでいただきたいと思っています」
 高橋さん自身、冷たいおせちと温かいお雑煮をいただくのは「お正月ならではの楽しみ」だという。極上のおせちを囲むひとときは、新しい一年の始まりを祝う、晴れやかな時間となるだろう。

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ライフスタイルの変化に合わせて

「お重の料理をつまみながら、『自分はこれが好き』『これは苦手』と、わいわいと話すのがお正月の団欒と言いますか、楽しさですよね。お正月くらいは自分を甘やかして良いんじゃないでしょうか。もともとおせちは日持ちするように作ってあります。朝昼兼用でゆっくり、お雑煮はもちろんですが、お餅やお酒と合わせて召し上がっていただきたいですね。私自身は白味噌の雑煮が好きなのですが、お客様の地元やお家のお雑煮と合わせて楽しんでいただけたらとおもいます」
 家族の形が変わり、一人暮らしの人が増えるなど、ライフスタイルが変わって行っても、年初を彩る料理は形を変えて伝わっていくに違いない。
「本来、瓢亭のおせちは五人前を念頭に置いて、二段重で作ってきました。ですが昨今、二人前、三人前、なんでしたら一人用に一段のものが欲しいというお声があります。店舗によってはお作りしているんですが、面白いのは一段のものをいくつもお求めになるお客様がいらっしゃいます。お使いものとして差し上げるのだそうです。
 一方で、京都の店には長年、お重をお持ちになる方もいらっしゃるので、お預かりして、お詰めしたものを大晦日にお渡ししています」
 伝統を守りながら、ライフスタイルに合わせて料理を届ける。老舗だからこその矜持だろう。
「瓢亭のおせちには、ゴマメやたたき牛蒡といった、御家庭でも作りやすい料理はあえて入れていません。一品でよいので『我が家の味』を作って、瓢亭のおせちと並べていただきたいと思っているからです」
 見事な料理を作るのはもちろん、それぞれの家の思い出とともにありたい――茶懐石の心を受け継いできた、瓢亭ならではのおせちにこめた願いがあるのだ。
 極上の食材を料理し、晴れやかにお重に詰めた日本料理の真髄を味わいたい。

十五代目 高橋 義弘(たかはし・よしひろ)氏の画像

懐石料理 瓢亭

十五代目 高橋 義弘(たかはし・よしひろ)

1974年、京都府生まれ。「瓢亭」の15代目当主。京都で育ち、東京の大学で経営学を学んだのちに、
石川県・金沢の割烹「つる幸」で3年間修業を積む。京都に戻り、先代の父・英一氏のもとで修行を重ね、
2015年、15代目に就任。