[龍村錦帯]の魅力をインテリアに。[CASA TATSUMURA(カーサ タツムラ)]ミラノデザインウィーク初出展レポート
イタリア・ミラノで開催された世界最大規模のデザインの祭典、ミラノデザインウィーク2026「フォーリサローネ」。今回、龍村美術織物初のインテリアコレクション[CASA TATSUMURA]が初出展しました。これは、高島屋と龍村美術織物の長年の共創から生まれた帯のオリジナルブランド[龍村錦帯]の新たな挑戦です。高島屋としても初となるミラノデザインウィーク出展の模様をレポートします。
坂谷内バイヤー
入社5年目。婦人服売場を経て、商品カテゴリーの枠組みにとらわれず、日本の産地の魅力を紹介する新規開発バイヤーを担当。入社して初めての海外出張と、ミラノデザインウィーク出展にワクワクしながらミラノへ向かいました。
[CASA TATSUMURA]の誕生


正倉院宝物裂の復元を手がけるなど、伝統的な織物の研究に尽力した初代龍村平藏に始まり、130余年、受け継がれてきた龍村美術織物。高島屋とは深い関わりと長い歴史があり、1927年に高島屋で「第一回錦帯作品展」を開催したことをきっかけに、高島屋のオリジナル帯ブランド[龍村錦帯]が誕生。以来、美術織物の最高峰を志し、歴代龍村平蔵氏と高島屋がともに制作を重ねてきました。
それから約100年。歴代の龍村平藏は「帯の意匠」の制作に留まることなく、それぞれ独自の美を探求した美術織物の創作を行いました。2024年には現社長・龍村育氏が五代龍村平藏を襲名。「和の躍動 和の解放」をコンセプトに、織物の領域を呉服に限定せず、生活空間への応用・転換を目指し、[CASA TATSUMURA]ブランドを始動しました。[CASA TATSUMURA]は、龍村美術織物が持つ技術をインテリア分野へいかした高島屋との共同プロジェクトです。日本の伝統美や様式美を世界へ発信し、次代へ継承していくことを目指しています。
初代龍村平藏。
五代龍村平藏氏(左)と制作に携わる職人。
期待と緊張のなかで迎えた開幕
イタリア・ミラノで開催される世界最大規模のデザインの祭典[ミラノデザインウィーク2026]への出展。これは、高島屋としても初めての試みです。メンバー一丸となって準備を進め、4月中旬、いよいよ開幕を迎えました。会期は約1週間。会場となったブレラ地区は、東京でいう表参道や青山のようなエリアです。洗練されたショップやギャラリーが立ち並び、一般のお客様はもちろん、世界各国からバイヤーやプレス、ギャラリー関係者が集まります。
期待と緊張が入り混じるなか、初日の来場者数は1,600人を超える盛況ぶり。会期中の総来場者数は12,000人以上にのぼり、そのうち約9割が海外からのお客様でした。週末のピーク時には会場周辺に長い列ができ、混雑のため入場制限を行うほど大きな反響を呼びました。
入場待ちの様子
会場へは、門をくぐった先に設けられた鳥居を通って入場します。ミラノでは珍しい鳥居が来場者の目を引き、記念撮影を楽しむ方の姿も多く見られました。
ミラノで高い関心を獲得
日本の美術織物の素晴らしさを世界に発信したい。私たちの想いや作品に込められた背景を海外の方々に知っていただくためには、ただ見せるだけではなく、しっかりと伝えることも欠かせません。現地スタッフの協力を得ながらイタリア語や英語で説明すると、「Fantastic」や「Bellissimo(イタリア語で『美しい』)」といった言葉とともに、自然と拍手が沸き起こる場面も多く見られました。


また、作品がシルク糸を用いてすべて手作業で織られていることや、完成までにかかる期間は長いもので約2年を要することをお伝えすると、多くの方が驚きの表情を浮かべ、作品をじっくりと見つめる姿が印象的でした。
どのフロアも多くの来場者でにぎわい、皆さん関心深く説明に耳を傾けてくださいます。中には、着物姿で来場される海外の方の姿も見られ、日本文化への興味の高さを実感しました。
ベッドカバーやクッションなどにも高い関心が寄せられ、購入の可否について尋ねられる場面も数多くありました。
こちらは「ぎやまん錦」という、江戸末期の薩摩切子に範を求めた四代平藏の代表作です。
二重経の織技を用いて、カットガラスの透明感や陰影、きらめきを織物で表現する独創的な発想には驚かされます。ライトとして光を灯すことでその美しさがいっそう際立ち、多くの来場者が作品に顔を近づけ、細部まで見入っていました。
[CASA TATSUMURA]が描く未来
高島屋として初めての取り組みとなった今回のデザインウィーク出展。
結果的には、想定を大きく上回る方々にご来場いただき、[CASA TATSUMURA]を通じて、日本の技術や美意識の素晴らしさをお伝えする機会となりました。会場内は4つのエリアに分かれていたのですが、一つのエリアで説明を終えると拍手が起こり、次のエリアでは説明が始まるのを静かに待ち、終わるとまた拍手が起こる。そのような光景が自然と生まれていました。来場された皆さんが真剣な表情で耳を傾け、作品に見入る姿が今でも強く心に残っています。
伝統産業は、ライフスタイルの変化によって活用の機会が減少していると言われています。しかし今回ミラノで、多くの方が作品に足を止め、惜しみない拍手を送ってくださいました。そんな姿を目の当たりにし、日本の技術や美意識には国境を越えて人の心を動かす力があることを改めて実感しました。
伝統を守るだけでなく、かたちを変えた新たな価値として未来へつないでいくこと。それは、五代平藏の掲げる「和の躍動 和の解放」であるとともに、私たち百貨店の大切な役割でもあると感じています。
[CASA TATSUMURA]は、まだ始まったばかり。今後も日本が誇る高度な技術や美意識を発信していきます。
デザインウィークに出展した作品は、9月後半より国内店舗巡回を予定しています。ぜひお近くの店舗へお立ち寄りいただき、[CASA TATSUMURA]の新たな世界観をご体感ください。
[CASA TATSUMURA]各店の会期・会場情報はこちら
大阪店 9月23日(水・祝)~29日(火)
1階正面 フロントステージ/6階 POP UP STATION[6F1]
新宿店 10月28日(水)~11月3日(火・祝)
11階 呉服サロン
日本橋店 11月18日(水)~23日(月・祝)
本館8階 催会場
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