すべての人がファッションを楽しむ社会を目指して。「Fashion for ALL your SENSES」プロジェクトの裏側【前編】
誰もがファッションを楽しむ社会の実現を目指しスタートしたプロジェクト「Fashion for ALL your SENSES」。プロジェクト初回の2025年は、視覚に障がいのある方を「リードユーザー」(新たな視点で価値の創出を導く人)として迎え、約8カ月間にわたるワークショップなどを通して、あらゆる感覚で楽しめるカットソーを完成させました。
第二弾となる2026年は「オノマトペ」をテーマに日本橋、新宿、大阪でポップアップを開催。
前編では、プロジェクト発足の裏話や商品開発の背景を担当バイヤーに伺います。 竹村マーチャンダイザー
入社から婦人服・リビング・こどもと多岐に渡る商品群を売場で担当し、直近4年はMD本部にてバイヤー業務を担当。ジャンルにとらわれない、新たな価値創出を目指し日々業務に取り組む。
―「Fashion for ALL your SENSES」(以下、FFAYS)プロジェクト立ち上げの背景を教えてください。
今回ご紹介したプロジェクトの背景は動画でもご覧いただけます。
Fashion for ALL your SENSESについて詳しくはこちら>>
後編では、2026年開催の「Fashion for ALL your SENSES-オノマトペ-」 についてご紹介します。
前編では、プロジェクト発足の裏話や商品開発の背景を担当バイヤーに伺います。 竹村マーチャンダイザー
入社から婦人服・リビング・こどもと多岐に渡る商品群を売場で担当し、直近4年はMD本部にてバイヤー業務を担当。ジャンルにとらわれない、新たな価値創出を目指し日々業務に取り組む。
プロジェクトスタートの背景
―「Fashion for ALL your SENSES」(以下、FFAYS)プロジェクト立ち上げの背景を教えてください。
竹村 我々バイヤーの仕事は「すべての人にファッションを届ける」ことであると意識してきましたが、「本当にすべての人が楽しめているのか?」という疑問からスタートしました。
―視覚に障がいのある方々と取り組んだきっかけは?
竹村 ファッションは「見た目」に頼る部分が大きいですよね。だからこそ、視覚に障がいのある方々にとってのファッションはどういうものなのかを知ることが重要と考えました。
2025年はインクルーシブデザイン※のコンサルティングを手掛ける〈PLAYWORKS〉と協業し、当事者を「リードユーザー」として企画当初から参加してもらい、「見える」「見えない」にとらわれないアイテムを一緒に開発しました。
―ワークショップはどのような様子でしたか
竹村 まずは視覚に障がいのある方のことを理解するというところからスタートしました。リードユーザーとコミュニケーションを取る前は、汚れにくさなどの機能性が重要ではないか?と仮説を立て、白黒をベースにグラフィックなどのデザインで楽しさを表現できたらと考えていました。
竹村 まずは視覚に障がいのある方のことを理解するというところからスタートしました。リードユーザーとコミュニケーションを取る前は、汚れにくさなどの機能性が重要ではないか?と仮説を立て、白黒をベースにグラフィックなどのデザインで楽しさを表現できたらと考えていました。しかし、実際には自分に似合う色を知っていたり、自分が着たい色、デザイン、トレンド感や素材の手触りの気持ちよさを知っていたり、ファッションに対するモチベーションがとても高いことが分かりました。
―2025年はカットソーを開発されました。カットソーを選んだわけは?

2025年のイベントで販売したカットソー(現在は終売) 竹村 老若男女、いろんな方々に着ていただきたいと考えたときに、一番普遍的なファッションアイテムがカットソー(Tシャツ)だと考えました。

2025年のイベントで販売したカットソー(現在は終売) 竹村 老若男女、いろんな方々に着ていただきたいと考えたときに、一番普遍的なファッションアイテムがカットソー(Tシャツ)だと考えました。
商品開発には、[グローバルワーク]や[niko and... ]を手掛ける〈アダストリア〉とタッグを組みました。「Play fashion!」を企業理念に掲げ、幅広いお客様にファッションを届けている姿勢に魅力を感じ、お声がけしました。
―〈アンリアレイジ〉ともコラボしています。
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※インクルーシブデザインとは: 高齢者、障がい者、外国人など、従来のデザインプロセスから除外されてきた多様な人々を、デザインプロセスの上流から巻き込むデザイン手法のこと。
多様な人々が使いやすいように設計する「ユニバーサルデザイン」とは異なり、排除されつつある個人のニーズや価値観を深く理解したうえでものづくりを行うことで、新しい価値を社会に取り込む可能性を秘めている 。 |
境界線を越えて
―〈アンリアレイジ〉ともコラボしています。
竹村 〈アンリアレイジ〉は既存の価値観を疑い、境界線を越えるという取り組みに特化しているブランド。「見える」「見えない」にとらわれないファッションという領域で強いメッセージ性を打ち出せると思い、コラボレーションを行いました。

アンリアレイジワークショップ・コラボ商品イメージ画像 ―商品開発や売場づくりはどのように進んでいったのでしょうか?
竹村 今回、視覚に頼りすぎているファッションを疑っていろんな感覚を呼び覚ますということをテーマにしています。ワークショップを通して、視覚に障がいのある方々は、触覚が重要な役割を担っていることはもちろん、音声(聴覚)や香り(嗅覚)など、さまざまな感覚を研ぎ澄ましていることが分かりました。

アンリアレイジワークショップ・コラボ商品イメージ画像 ―商品開発や売場づくりはどのように進んでいったのでしょうか?
竹村 今回、視覚に頼りすぎているファッションを疑っていろんな感覚を呼び覚ますということをテーマにしています。ワークショップを通して、視覚に障がいのある方々は、触覚が重要な役割を担っていることはもちろん、音声(聴覚)や香り(嗅覚)など、さまざまな感覚を研ぎ澄ましていることが分かりました。
商品だけでなく、タグにも工夫を凝らしました。二次元コードを読み込むと音声で説明が聞けたり、色に紐づいた香りを売場で感じられるようにしたり。いろんな角度から「高島屋で買ったTシャツ」の思い出を持ち帰っていただけるよう考えました。
―ワークショップにご参加いただいた皆様の感想が気になります
竹村 これまでにない視点で洋服を選ぶことで、これまで以上にファッションに興味を持てたと、嬉しいコメントをいただきました。自分自身、これまで、バイヤーとしてファッションを熟知している“つもり”になっていましたが、「見えない世界」を通して新たなファッションの楽しみに気づかされました。
視覚に障がいのある方も、健常者の方もどちらにも「いいね」と言ってもらえることを目指して、これからもいろんな視点を持ち、ものづくりを通してファッションを楽しむ人口を増やしていきたいと思っています。
今回ご紹介したプロジェクトの背景は動画でもご覧いただけます。
Fashion for ALL your SENSESについて詳しくはこちら>>
後編では、2026年開催の「Fashion for ALL your SENSES-オノマトペ-」 についてご紹介します。

