開発バイヤーPOP UP「未来を描く産地のクリエイター 藍染めとかごバッグ」

開発バイヤーとは


ジャンルやカテゴリーにとらわれず、「地方創生・地域連携」という視点から、高島屋ならではの目線で選び抜いた商品をお届けする “開発バイヤー”。

日本各地には、まだあまり知られていないけれど、思わず誰かに教えたくなるような名品がたくさんあります。このコラムでは、地域の風土や文化、作り手の想いがぎゅっと詰まった名品たちの背景にあるストーリーや、開発バイヤーの目線で見た“その土地や商品の魅力”を、少しずつご紹介していきます。

今回は、9月17日(水)~23日(火・祝)に新宿高島屋タイムズスクエア11階呉服サロン「桐庵」にて開催するポップアップで取り扱う[あいわゆう]の藍染めと、[KAgoKA]のかごバッグをご案内します。

昔ながらの技法で美しい藍を生み出す。
本建て正藍染[あいわゆう]


正藍染「あいわゆう」の店内

正藍染[あいわゆう]の店内

岐阜県池田町に工房を構える[あいわゆう]。藍の栽培、生地選定、デザイン、型紙制作、縫製、染色まですべてを夫婦二人三脚で行うブランドです。日本古来の技法である「本建て正藍染」によって一点ものの衣服を製作しています。

【本建て正藍染(ほんだてしょうあいぞめ)とは】
室町時代頃に生まれた日本独自の高度で繊細な染色技法。薬剤などを一切使わず、微生物の自然な発酵力のみで染めを行います。染め上がり後の色移りがないのが大きな特徴です。

伝統的な本建て正藍染の様子

本建て正藍染では「染液に30分以上漬け込む→水洗い→最低6時間以上の天日干し」という一連の動作を6回以上も繰り返します。時間と手間を惜しまず注ぎ込むことによって、透き通った藍の色と、色落ちしにくい高品質な仕上がりを実現しています。

作品全て、一点一点に作り手の意図と想いが込められており、工業製品にはない温もりと個性、手仕事の美しさをまとっています。

優れたデザインと美しい手仕事の融合


藍染めの染料

藍染めの染料

手間も時間もかかるけれど、その分、色に深みが出て、布に命が吹き込まれるような感覚。そんな藍染めを、ご夫婦で心を込めて仕上げています。

正藍染「あいわゆう」野原和也さん・未希さんご夫妻

野原和也さん・未希さんご夫妻

デザインを手掛ける野原和也さんはファッションの名門、ロンドンのセントラル・セント・マーチンズをご卒業。デザイン、パターン、縫製を夫の和也さんが、染色は妻の未希さんが行っています。「藍染め」と聞くと、少し年齢層が高めのイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし[あいわゆう]の商品は、デザインから染めまで一貫して自分たちで手がけているから、現代のファッションにもぴったり。パターンや染めの色・絞りのバランスが絶妙で、“ここにしかない一着”に出会えるブランドです。

藍色の奥深さと、作り手の想いが詰まった[あいわゆう]の服。ぜひ一度、手にとってみてください。

自然の恵みと手仕事が織りなす、山葡萄バッグブランド[KAgoKA-カゴッカ-]


山葡萄バッグ

[KAgoKA-カゴッカ-]は、共に音楽家でもある光田茜さんと生野恭子さんが立ち上げた山葡萄バッグのブランド。籠編み作家として加根古工房(工房KAGO)で研鑽を積み、2025年4月に活動をスタートしました。群馬県の森に入り自ら採取した山葡萄の蔓を使い、編み方からデザインまでお二人で考案して仕上げる、こだわりのバッグブランドです。

山葡萄フルートケース

[KAgoKA]山葡萄フルートケース

伝統的な技法をベースにしながらも、現代の暮らしに寄り添うデザイン性を追求し、幅広い世代に使っていただけるバッグを生み出しています。山葡萄は、使うほどに艶が増し、手に馴染んでいくのが魅力。自然素材ならではの風合いと、作り手の丁寧な手仕事が合わさり、長く愛用できる一品に仕上がっています。百貨店への出展は今回が初めて。店頭で、自然と人の手が織りなす美しさを体感してください。

世代をまたいで“育てていくバッグ”


山葡萄採取

山葡萄は寒冷地を好む蔓性の植物。[KAgoKA]のお二人は梅雨の時期に一年分の材料を採取しに森へと入ります。主な材料となる国産の山葡萄は厚みがあり、丈夫で艶もしっかり出るため、希少価値が高いと言われています。

山葡萄の蔓

かごに使用する山葡萄は樹齢10年以上のもの。採取後に天日干し、鞣し、切り出しを行います。「編み」「組み」「結び」「巻き」の4つの編み方を駆使し、各地域に伝わる伝統的な編み方を継承しながらも新しい柄や形を取り入れ、現代のライフスタイルに合う作品を一つひとつ丁寧に制作しています。形や編み方によってかかる時間も変わり、長いと一つで3か月かかるものも。

KAgoKAの光田茜さんと生野恭子さん

[KAgoKA]の光田茜さん(左)と生野恭子さん(右)

「山葡萄は貴重で高価ですが、『100年持てる』と言われるように三世代に渡って使用することができますので、若い世代の方々にも手に取っていただきたいです。使ううちに飴色に変化していくのも魅力の1つで、“育てていくバッグ“とも言われています。山葡萄と共に素敵な時間を重ねていただけたらたいへん嬉しいです」とお二人。

作品にはバッグだけでなく、ランプシェードも。今回の藍染めをはじめ、レザーや織物など、異素材とのコラボレーションで生まれる新しい可能性にも挑戦していくそうです。「自然からの恩恵を受け、古くから人の暮らしに寄り添ってきたかご編みをよりたくさんの方々に知っていただき、日本の伝統工芸を後世に伝えていく役割を担えるようなブランドにしていきたいです」と語る[KAgoKA]のお二人が作る山葡萄バッグ。ぜひお手に取ってその美しさを確かめていただきたいです。

■新宿高島屋 POP UP開催概要
未来を描く産地のクリエイター 藍染めとかごバッグ

9月17日(水)~23日(火・祝)
※最終日は午後5時閉場
開催場所:新宿店11階 呉服サロン「桐庵」

※価格・内容は2025年9月15日現在のものです。
※品数に限りがございますので、売切れの節はご容赦ください。
※都合により、生産中止、または仕様・価格などが変更になる場合がございます。
※サイズ・色が実際の商品と異なる場合がございます。