Feel a SEASON

季節を愉しむ暮らしの提案

季節には、その時々にしか味わうことのできない美しさや魅力があります。
そんな四季の愉しみを、暮らしの中に取り入れてみませんか?
普段の生活をより豊かに彩るヒントを、さまざまな分野の方にお聞きします。
今回は、モデル・文筆家と多彩に活躍する小谷実由さんが、
老舗の文房具店「銀座 伊東屋玉川店」を訪ねます。
日頃から手紙を書くことが楽しみの一つだという小谷さん。
この時期気になるのが、クリスマス気分を盛り上げてくれるホリデーカードです。
そこで、伊東屋副店長の井村留理子さんにおすすめのカードや、
手紙を書くのにぴったりのペンをおすすめいただきました。

vol.12

ホリデーカードに
思いを込めて。
ペンを片手に過ごす
小谷実由さんの豊かな冬時間

普段は銀座店をよく利用するというモデルの小谷実由さん。
「自然光の入る空間や、2フロアにたくさんの商品がぎゅっと詰まっている玉川店は、また雰囲気が全然違いますね!」

さっそくカード売り場へと向かうと、さまざまなホリデーカードがずらり。
「玉川店は、伊東屋のなかでも、デザインにこだわりのある大人向けのホリデーカードを多く取り揃えていて、輸入品から国内メーカー品、伊東屋オリジナルのカードまで多彩なラインナップが魅力です」
そう教えてくれたのは副店長の井村留理子さんです。

大切な人を思い浮かべながら
カードを選んで

アドベントカレンダーのような仕掛けのあるもの、刺繍が施されたもの、20種類も音楽が入ったメロディカード、スノードーム型の立体カード……種類がたくさんあって目移りしてしまうほどですが、井村さんはカード選びのポイントをこう話します。

「伝えたい思いがたくさんある方は、余白の多いシンプルなカードがおすすめです。「“SEASONS GREETING”など、もともとメッセージが書いてあるものや、装飾が華やかなものには、一言さらっと添えるくらいがいいですね。カードは少ない文字でも十分に思いが伝わるのもいいところだと思います」

「飾ることのできる立体カードは少し早めに送っていただいて、クリスマスまでの時間を盛り上げてくれるオーナメントに」と井村さん

小谷さんが選んだのは、レンチキュラーの大判カード、フランス人デザイナーが手がける伊東屋オリジナルのホリデーカード、クラシックなスノードーム型のカードと封筒が10枚ずつ入ったボックスセットに、ポインセチアの立体カードの4種類。

「いろんなテイストがあるので選ぶのも楽しいですね。あのカードはあの人に……と、送りたい人が思い浮かんできます。ポインセチアのカードはツリーを飾ることがあまりない祖父母に。お部屋に飾って季節感を感じてもらえそうです」

見る角度によって絵が変わるレンチキュラーのカード。「レンチキュラーがすごく好きで、見つけると買っちゃうんです」と小谷さん

伊東屋のオリジナルカードは毎年異なるデザイン。「今年の新作は?と聞かれるお客様もたくさんいらっしゃるのだそう

カードを書くのが
もっと楽しくなる、
ペンとの出会い

カードを書くために大切なのがペン。普段から手紙を書くことが好きな小谷さんは、「文字をたくさん書くから、細いペンがお気に入り」なのだそう。
井村さんはこんなポイントを教えてくれました。
「ご自身の字が気になるという方は、太めのペンを。すべらせるように書くことで強弱がつき、字に味が出ますよ。細いペンはぶれやすいので、落ち着いてゆっくり書くのがポイントです」

小谷さんが気になったのが、パイロットの万年筆「プレラ」と、日本の風情を感じさせる美しい色の揃ったインク「色彩雫(いろしずく)」。
「万年筆にはずっと憧れがあったんです。でも、書くのが難しそうだし、お手入れも大変そうなイメージがあって……」
そんな小谷さんに、井村さんは「パイロットは初心者も使いやすく、インクもコンバーターで吸入するだけ。洗って他の色のインクに変えれば楽しみも広がりますよ」
とアドバイスしてくださいました。

「力をかけず、すべらせるように書いてみてください」という井村さんのアドバイスのもと万年筆を走らせると、小谷さんは「書きやすい!」と嬉しそう

「色彩雫」ミニサイズの3色セット。小谷さんがクリスマスを意識して選んだのは「松露」「冬柿」「稲穂」

スイスの文具メーカー「カランダッシュ」のクリスマス限定カラー赤と緑のボールペン。オリジナルの缶に入っていてギフトにもおすすめ

カードに想いと
言葉をしたためて、
1年締めくくりのご挨拶を

さっそく選んだホリデーカードを広げ、ペンを握る小谷さん。カードや手紙を送る楽しみについてお話してくださいました。

私はいつも書くことを決めずに手紙を書き始めるのですが、そうすると自分でも意外な言葉が出てくることがあるんです。手紙の上で自分の知らない自分に出会える、そんな楽しさがあります。井村さんが、カードには「さりげない一言を添えるのがいい」と、教えてくださいましたが、たくさん書く必要はないんですよね。その人を想いながらカードを選んで送る、それだけで伝わることがたくさんあると思います。

「ポインセチアのカードは、組み立てながらワクワクできそう」と小谷さん

手紙を送る時には自分で撮った猫や花の写真を同封したり、かわいい切手やシールを貼ったり、送る相手によってさまざまな工夫を凝らすのだとか

メールやSNSはスピーディーな良さがありますが、手紙は“一呼吸”おくことができるのが魅力。その人のことを考えながら言葉を選んだり、カードや便箋を使って自分なりの形に落とし込んだり、“一呼吸”おいてから伝えることで、その言葉が一層特別なものになるような気がします。相手のことを考えながら、ゆっくり自分の手で文字をしたためていく、その時間が私にとってはとても大切なんです。

日本には年賀状の文化がありますが、1年の締めくくりのご挨拶としてホリデーカードを送るのも素敵。今年は大切な人のことを想いながら、ありがとうの気持ちをゆっくりしたためてみたいと思います。

銀座・伊東屋 玉川高島屋S・C

明治37年創業の文房具専門店「銀座・伊東屋」の支店。玉川高島屋S・Cでは2フロアにまたがり、種類豊富なアイテムを展開。レターセット、カード、カジュアルステイショナリーから画材や高級筆記具まで国内外の文房具を厳選している。また伊東屋オリジナル商品も多く、毎年デザインが変わるというオリジナルのクリスマスカードも人気。

※こちらの記事は、2021年12月に公開されたものです。

小谷実由

モデル・文筆家。ファッション誌や広告などを中心にモデルとして活躍する傍ら、文筆家としても活躍。またクリエイターや作家とのモノづくりにも取り組み、肩書きにとらわれないさまざまな活動を行うほか、自分のこよなく愛するものについてメディアや SNSでも発信している。趣味は純喫茶巡り。