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2019年6月11日(火)
The 34th edition of the International Festival of Fashion in Hyères
-from paris-

Bonjour!まだまだ暖房が必要なほど寒い日があるパリを脱出し、南仏はイエール(Hyères)に行ってきました。美しい海のあるリゾート地として親しまれているイエールですが、毎年4月末のこの時期に“the International Festival of Fashion in Hyères”というファッションコンテストが開催されるのです。

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正確にはファッション・ファッションアクセサリー・写真の3カテゴリーを対象に次世代を担う若手アーティストを発掘するためのコンテストで、事前に選出されたファイナリストのみがグランプリを決めるプレゼンテーションをイエールでできる仕組みになっています。

メインスポンサーにはシャネルやクロエ、スワロフスキーといったビッグブランドがついており、グランプリを獲得すると賞金を獲得できるだけでなくシャネルのオートクチュールからの技術提供やフランスの子供服ブランド”プチ・バトー”とのコラボレーション商品をつくるチャンス、世界最大の素材展“プルミエール・ヴィジョン”での展示、ベルリンファッションウィークでのショーなど様々な特典があるのが特徴です。

業界での注目度も高いので、このコンテストの出場をきっかけに有名ショップでの買付が決まるなど、様々な面で新人が活躍するための環境が整っています。

メイン会場は“ヴィラノアイユ”という、芸術家のパトロンとして有名なパリの貴族ノアイユ子爵夫妻がバカンスを過ごした別荘(※現在はアート展示施設)を使っており、高台にあるので一歩外に出ると美しい風景がひろがっています。

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ちなみにショー会場も、イエールの美しい塩田に囲まれた独特の雰囲気の中にありました。
アクセスはなかなか苦しいですが、都市で行われるショーとは違った趣があります。

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いわゆる「コンテスト」というと、ぴりぴりとしたお堅いイメージですが、南仏の気持ちの良い気候と自然の多い環境、イエールの街のアットホームさが相まって来場者・関係者ともにリラックスした時間が流れていました。

コンテスト以外にも、今回のファッションの審査員長はクロエのクリエイティブディレクターNatacha Ramsay-Leviが務めており、会場には彼女が担当を始めた2018~2019SSのルックを特別編集した展示や、

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シャネルの商品を担っているアトリエのブランド“メゾン・ミッシェル”や“グーセンス”の展示、

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スポンサーブランドの1つ“アメリカンヴィンテージ”が野外で行う植物染めのワークショップもありました。ちなみにこの植物染めの生地は、ショー会場や展示会場の共通装飾として使われています。

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さて、本題のファッション部門のファイナリストは8名。

ここ数年常連となっているフィンランドから2組、残りはアイルランド、オーストリア、スイス、フランス、リトアニア、ロシア、台湾、そして我らが日本から1組というラインアップです。

すでに結果は出てしまいましたが、プレゼンテーション・ショールーム・ショーを通して個人的に注目をしていたデザイナーをご紹介します!!

●Christoph Rumpf(オーストラリア・メンズウェア) 本年グランプリ

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今回のグランプリを獲得した彼のコレクションテーマは“ジャングルで育った王子の物語”。

「ストーリーテーリングのある服作りが好き」という彼のコメント通り、ファイナリストの中で一番統一されたコレクションの世界観を持っていたように思います。

審査員からの評価にもあがっていたのが、“アップサイクル”を利用して上手くコンセプトを表現していた点。ほぼ全てのルックをフリーマーケットで見つけた古い衣装やペルシャ絨毯などの素材を再利用して、この素材だからこその王子の服を作っています。

例えば、絨毯のハリのある素材だからこそ表現できた雄大な服はモデルの雰囲気とベストマッチしていました。今日性のある制作方法を、奥行きのあるファンタジーと行き過ぎていないデザインで上手にまとめた点がグランプリの理由かもしれません。

●Róisín Pierce(アイルランド・レディスウェア) メティエダール賞・市民賞

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メティエダール賞、市民賞のダブル受賞を果たした彼女のテーマは“花の中の女性(Women in Bloom)”。

このメティエダール賞は本年から新設され、ファイナリストは本選用にシャネルのオートクチュールアトリエからの技術提供を受けた作品を用意するのですが、その評価で決まるのがこちらの賞です。

メゾン・ミッシェルの技術提供を受けた、ソフトクリームと花をイメージしたロマンティックな帽子が評価されました。

ショーを見た一般客の評価で決める市民賞も受賞しているように、ショー栄えも含め“服自体の強さ“が一番あったように思います。ホワイトコットンで作られたベビードレスのようなコレクションは、数年前に社会問題となった自国アイルランドの母子収容施設で多数の乳児の遺体が見つかった事件をオマージュしているそう。パッと見た無垢なイメージと相反する社会派な味付けが、コレクションに重みをだしていました。

●土居賢晢、戸田麻奈美、穴澤洋太(日本・レディスウェア) 審査員特別賞

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POLOとARMANIという、本来消して混ざらない2つのブランドのスタイルを今のモードに昇華した“POLOMANI”がコレクションの大きなコンセプト。

“90年代のフェイクマーケット”や“今までにない新しい身体のライン、サスティナブルなど次の素材表現の探求”といった様々なテーマが詰め込まれた、モード史に根ざしたパワフルな作品となっていました。

例えば、本来ブランドを象徴するPOLOベアーが「ブランドの価値とは何か?」を皮肉するのに使われていたり、アルマーニのイタリアンテーラードはエッセンスはそのままに解体されて、時には1人以上でも着れるトランスフォームデザインになっています。

トップバッターを務めたショーも、スーパーヒーローが出てきそうな音楽に合わせ、観客が頑張ってついて行かないと取り残されるくらい勢いの、劇場のようなショーで会場を沸かせていました。

私の周りにいたジャーナリストも「一番おもしろかった」とのこと。

同じ日本人としても、このイエールを踏み台にした今後の活躍に期待です!!

●Milla Lintila(フィンランド・レディスウェア) ギャラリーラファイエット賞

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コンテストのパートナーであるギャラリーラファイエットでカプセルコレクションを作成・販売できるチャンスを得られるこの賞には、すぐにでもコマーシャルで戦えそうなニットコレクションを提案した彼女が選ばれました。コンテストの常連アアルト大学でテキスタイルを学び、織物など日本の伝統技術の勉強を学びに京都に滞在したこともあるそう。

コレクションのテーマは“ジェンダー”特に“女性性”を問いかけるもので、振付家兼ダンサーでジェンダーについての著作も残したValentine de Saint Pointインスピレーションに、“女性の身体の自由さ”を生地の質感や中性的なデザインで表現していました。

コンテストだけあってクリエイションに寄った作品が多い中で、一番リアルクローズに近く今すぐ販売できるのでは?と思うほど商品として完成度の高いコレクションだと個人的にも思っていたので、ギャラリーラファイエット賞を取ったのも納得です。

ギャラリーラファイエット店舗とオンラインで、来年発売予定だそうなので今から楽しみ!

私自身こうしたコンテストを見るのは初めてだったのですが、サイズ感やテイストなど現実的に着こなせるか?価格のバランスはどうか?といった「お客様が見える商品」を探すことを普段は心がけていますが、コンセプトに共感して服を選ぶのも良いなと改めて思う時間を過ごすことができました。

また小売業界で働く者として、「若い才能を発掘して育てる」システムの1例を体験できたのも大きな収穫です。

仕事柄、そして百貨店という性格からもコマーシャルに寄ったブランドと関わることが多い一方、パリにいると大衆受けは難しそうだけれどクリエーションの熱がばしばし伝わる若い才能に出会うチャンスも沢山あります。こうした商品を上手くお客様に届ける方法を、こうした海外の事例も参考に模索し続けたいと思います。

ところで実は高島屋は、“インターナショナル・ウールマーク・プライズ(IWP)”というファッションコンテストのリテールパートナーをしています。

https://www.woolmarkprize.com/

学校を卒業したばかりの本当に新人を対象にしたイエールと比べて、こちらはすでにブランドとして活動している必要があるなどコンテストの性格が異なりますが、過去にはイヴ・サンローランやカール・ラガーフェルドをはじめ多くのデザイナーを輩出した国際的なファッションコンテストです。

弊社バイヤーが審査に関わり、ファイナリストからセレクトしたブランドを国内で独占販売しています。本年2月に行われた2019年大会のブランドもこの秋冬に販売予定です。

高島屋と若きデザイナー達とのコラボレーションに是非注目していただければと思います!

それでは、À bientôt!!

by Louis

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Louis
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婦人雑貨のバイヤーを経てパリに赴任。大学で美術史を勉強していたので、ヨーロッパのアート事情にも興味津々!
Eddie
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from 2015 to 2016

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婦人服担当を経てパリ2年目。パリのモードやライフスタイル、スイーツやアートにも興味あり。
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ミラノ駐在暦2年目。
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