本展覧会では、北欧の人々の住まいで使われているあかりや建築と調和しているあかり、そして 北欧からどのようにして質の高い照明器具が生まれたのかを捉えながら、数多くの照明器具とそのデザイナーを紹介します。また北欧のあかりを体験できる場や北欧のあかりと日本について考える場もご用意しました。

ペンダントランプ 《PH 3½-3》/
ポール・ヘニングセン/1926〔ルイスポールセン〕
フロアランプ 《AJ フロア》/
アルネ・ヤコブセン/1957〔ルイスポールセン〕
(c) Kentauros Yasunaga
第1章
北欧のあかりと暮らし
北欧諸国は緯度の高い位置にあるため、夏は暗くならない白夜になるのに対し、冬は暗い時間を長く過ごさねばなりません。そのため北欧の人たちは、キャンドルや照明のあかりをうまく用いた暮らしを営んできました。適度な暗さの中での温かみのあるあかり、窓の外の美しいトワイライトの空と調和するあかり、あかりが闇に消えていくグラデーションの味わいなど、現地の人々の暮らしにみる、あかりの活かし方、その効果についてご紹介します。

フロアランプ 《PH 3½-2½ フロア》/
ポール・ヘニングセン/1920s〔ルイスポールセン〕
ペンダントランプ 《PH 5-4½》/
ポール・ヘニングセン/1931〔ルイスポールセン〕
(c) Kentauros Yasunaga
第2章
近代照明3巨匠の功績
近代的な照明器具が生まれてから約100年が経ちます。北欧の近代照明の発展に大きく寄与した3人の巨匠として、デンマークのポール・ヘニングセン、コーア・クリント、フィンランドのアルヴァ・アアルトが挙げられます。当時を振り返りながら、巨匠たちの考え方、彼らが生み出した照明器具、協働したブランド・メーカーなどに着目し、その功績をご紹介します。

ペンダントランプ 《PH アーティチョーク》
ポール・ヘニングセン/1958〔ルイスポールセン〕
(c) Kentauros Yasunaga

ペンダントランプ モデル101《ランタン》
コーア・クリント/1944〔レ・クリント〕
(c) Kentauros Yasunaga

ペンダントランプ A331《ビーハイブ》/
アルヴァ・アアルト/
1953〔アルテック〕
(c) Kentauros Yasunaga
ヴィンテージランプの展示
「近代照明の父」と呼ばれるポール・ヘニングセンが彼の原点となる3枚シェードのPHランプを考案してから約100年。1925年のパリ万博に出品され、3枚シェードが誕生する契機となったパリランプ(①)が、デンマークから海をわたって展示されます。
翌1926年、3枚シェードのPHランプが完成し、のちに多様なバリエーションのランプがデザインされました。当時の貴重なPHランプ(②・③)が、やわらかな光を灯します。

①ペンダントランプ 《パリランプ》/1925〔ルイスポールセン〕※日本橋のみの展示

②テーブルランプ 《PH 2/2 クエスチョンマーク》/1931〔ルイスポールセン〕

③テーブルランプ 《PH 2/2 スノードロップ》/1930s〔ルイスポールセン〕
第3章
建築と調和するあかり
北欧では建築をつくるときに、家具や照明など環境にあるもの全てをトータルにデザインする志向があります。パーヴォ・ティネルが照明デザインを手がけたヘルシンキ中央駅などの建築、デンマークの巨匠建築家アルネ・ヤコブセンやヴィルヘルム・ラウリッツェンによる今も残る名建築、「光と音の建築家」と称されるユハ・レイヴィスカの美しい教会建築など、建築物とあかりをあわせて取り上げます。

グッド・シェパード教会
グッド・シェパード教会のペンダントランプ/
ユハ・レイヴィスカ/2002〔メーカー不詳〕
(c) Kentauros Yasunaga

SASロイヤルホテル
ペンダントランプ 《AJ ロイヤル》/
アルネ・ヤコブセン/
1957〔ルイスポールセン〕
(c) Kentauros Yasunaga

コペンハーゲン空港旧ターミナル
ペンダントランプ 《VL リングクラウン》/
ヴィルヘルム・ラウリッツェン
1940頃〔ルイスポールセン〕
(c) Kentauros Yasunaga
第4章
名作照明とデザイナーたち
北欧では世界的にみても質の高い優れた照明器具がたくさん生み出されています。ペンダントランプ・テーブルランプ・フロアランプなどを見ても、光の照らし方、光の質、器具の形など多様であり、素材も金属、プラスチック、紙、木など種類豊富です。北欧デザイン黄金期の1940〜60年代、そして近年までを対象に、北欧で生まれた名作照明の数々をデザイナーとともにご紹介します。


(1)ペンダントランプ 《ベル》/
リサ・ヨハンソン=パッペ/1961〔イノルクス〕
(c) Kentauros Yasunaga
(2)ペンダントランプ 《ブーケ》
センヤ・スヴァー・ダムケア/2019〔レ・クリント〕
(c) Kentauros Yasunaga
(3)ペンダントランプ 《VP グローブ》
ヴァーナー・パントン/1969〔ヴァーパン〕
(c) Kentauros Yasunaga

(c) Kentauros Yasunaga
ヒュッゲの広場
名作照明と北欧家具をコーディネートし、実際にあかりを体験できる場をご用意しました。優しい暗さに包まれながら、北欧のあかりの心地よさを体感してみませんか。またデンマークやフィンランドで撮影した、本展オリジナルの映像もお楽しみください。
おわりに
北欧のあかりと日本
日本のあかり文化や北欧のあかりと日本の関わりについて考えます。日本の住まいにしつらえられた北欧のあかりもご覧ください。

テーブルランプ 《VL38 テーブル》/
ヴィルヘルム・ラウリッツェン/1940頃〔ルイスポールセン〕
(c) Kentauros Yasunaga
-
※訂正
以下の写真(グッド・シェパード教会)キャプションについて、2025年2月5日(水)に以下へ修正をいたしました。
◆誤)グッド・シェパード教会のペンダントランプ/ユハ・レイヴィスカ/2004〔メーカー不詳〕
◆正)グッド・シェパード教会のペンダントランプ/ユハ・レイヴィスカ/2002〔メーカー不詳〕 - ※掲載作品と会場に展示される作品はサイズ、色などが異なる場合があります。