代表的なデザイナー
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Poul Henningsen
ポール・ヘニングセン (1894-1967)
デンマーク「PH 5」「PH アーティチョーク」のデザイナーとして知られるヘニングセンは、良質な照明器具がまだ少なかった1920年代からルイスポールセン社との協働で、数多くの優れた照明器具をデザインし、世界中に多くの影響を与えてきました。一方、器具のデザインだけでなく、人間にとってふさわしい光の環境について精力的に研究を行い、数々の提言を行なってきた功績などもあり「近代照明の父」とも呼ばれています。
ペンダントランプ 《PH 5》
1958〔ルイスポールセン〕 -
Kaare Klint
コーア・クリント (1888-1954)
デンマーク家具デザイナー、建築家、そして教育者としても著名なコーア・クリントは、照明器具でも決定的なデザインを残しています。父P.V.イェンセン・クリントが日本の折り紙から着想を得てつくったとされる紙のオイルランプシェードを発展させる形で、ランタンとも呼ばれる球体の「モデル101」を誕生させました。それは手工芸を照明デザインに取り込み、繊細な幾何学と紙を用いて柔らかい拡散光を放つ照明器具の一つの型になりました。そして兄ターエ・クリントが設立したレ・クリント社にその照明は引き継がれ、その後、数多くのシリーズを生み出すことになりました。レ・クリント社は現在もその哲学を守りながら、新しい照明器具を作り続けています。
ペンダントランプ モデル101
《ランタン》
1944〔レ・クリント〕 -
Alvar Aalto
アルヴァ・アアルト (1898-1976)
フィンランド近代建築の巨匠アアルトは、建築設計のみならず、都市計画から、家具、ガラス器、タペストリーのデザインまで幅広い活躍を見せた建築家です。建築の設計時には同時に照明器具も数多くデザインしており、それらの一部はアアルトらが自ら設立したアルテック社から、プロダクトとして販売されています。人間に優しい光の質を重視しながらも、ゴールデンベル、カブ、天使の羽などのニックネームで親しまれる、アアルトが大切にした「遊び心」も加わった照明器具は、世界中で愛され続けています。
ペンダントランプ A330S
《ゴールデンベル サヴォイ》
1937〔アルテック〕 -
Paavo Tynell
パーヴォ・ティネル (1890-1973)
フィンランドヘルシンキ中央駅など数多くの公共建築の照明器具をデザインしたティネル。アアルトの照明デザインにおいて協働者として活躍したことでも知られます。自ら彫金技術を持ち、植物文様など自然をモチーフにした有機的で装飾的な形態や、金属シェードから美しく光が漏れる小さな穴をパンチングする手法などが大きな特徴ですが、機能主義的感覚も持ち合わせ、プロダクトでは洗練された幾何学形態の器具なども数多くあります。
ペンダントランプ 1965
1948〔グビ〕 -
Vilhelm Lauritzen
ヴィルヘルム・ラウリッツェン (1894-1984)
デンマーク当時ヨーロッパを中心に台頭した機能主義建築をベースにしながらも、人に優しい素材や形態にこだわり、北欧的な機能主義建築の構築に大きく寄与した建築家。代表的な建築作品、ラジオハウス、コペンハーゲン空港旧ターミナル、人民の家においてデザインした照明器具は、のちにプロダクトとして販売され、今でも数多くの人々に愛され使用されています。
ペンダントランプ 《VL 56》
1956〔ルイスポールセン〕 -
Arne Jacobsen
アルネ・ヤコブセン (1902-1971)
デンマークエッグチェアやセブンチェアなどのデザイナーとして著名なヤコブセンは、本国に数多くの名建築を設計しており、北欧の近代建築の3巨匠の一人に位置付けられています。トータルデザインの集大成でもある旧SASロイヤルホテルでは建築とともに、家具から照明、カトラリーまで全てのものをデザインしていますが、そこからその後、AJ ロイヤル、AJ テーブル・フロアなどのロングセラー照明器具が生み出されています。
ペンダントランプ 《AJ ロイヤル》
1957〔ルイスポールセン〕 -
Juha Leiviskä
ユハ・レイヴィスカ (1936-2023)
フィンランド音楽家の家庭に育ち自らピアノも弾き、光の美しい空間をデザインすることから、「光と音の建築家」と称されている建築家です。フィンランド国内に自然光の美しい教会建築を数多く作っていますが、そこでは自らデザインした美しい照明器具が音符のように空間に浮かび礼拝堂を彩ります。それら照明器具の幾つかはアルテック社から発売されていて、レイヴィスカ愛好家の重要なコレクターアイテムになっています。
ペンダントランプ JL341
1969〔アルテック〕 -
Hans J. Wegner
ハンス J. ウェグナー (1914-2007)
デンマークYチェア、ザ・チェア、チャイニーズチェアなど数多くの名作椅子を生み出し、生涯で500脚以上も椅子をデザインしているウェグナー。椅子以外には様々な日用品などもデザインしていますが、照明器具に関しては、自邸やホテルスカンジナビアのためにデザインし製品化されたものがあります。その一つザ・ペンダントは、シェードを吊るコードの長さを変えられることや、電球の位置を動かして光の広がりを調整できるなど、美しい造形とともに使いやすさについてもきめ細く考慮されている点で、椅子のデザインに通ずるものがあります。
ぺンダントランプ HJW37
《ザ・ペンダント》
1962〔カール・ハンセン&サン〕 -
Jørn Utzon
ヨーン・ウッツォン (1918-2008)
デンマーク世界遺産オペラハウス(シドニー)を設計した建築家ウッツォンは、照明器具も多数デザインしています。それらの照明器具は、彼の建築に通ずる有機的フォルムによる造形表現が特徴ですが、自然光の扱いにも長けたその技量は、シェードから微かに漏れる淡い間接光など人工光においても発揮されています。パンダル、ライトイヤーズ、アンドトラディション、リーファ、フリッツ・ハンセンなどブランドは変わりながらも、現在も復刻・販売され続けています。
ペンダントランプ
《コンサート》
2005〔フリッツ・ハンセン〕 -
Verner Panton
ヴァーナー・パントン (1926-1998)
デンマーク自然素材の使用、落ち着いた風柄などが主流であったデンマークデザイン界において、「異端児」扱いされることも多かったパントン。照明器具デザインにおいても、強烈な色彩と挑戦的な素材、幾何学的な形態の組み合わせなどにより、際立って独特な作品を残しています。そこには光の質や光の反射の仕方など光学的側面の詳細な検討に裏付けられた、質の高いデザインと技量がみられます。
ペンダントランプ
《VP グローブ》
1969〔ヴァーパン〕