自らを「吹きガラス屋」と称する加倉井秀昭先生の作品は、ベネチアングラスの技法をさまざまに組み合わせて、幻想的な光と影の世界を作り出しています。この波格子の模様は、とても複雑な工程を経て作られています。色の棒を巻き取った後に一部分だけ熱して右に捻り、その下の部分を熱して左に捻る・・・、という作業を繰り返してジグザグ模様のコップを作ります。これだけでも高い技術を要しますが、さらに、逆方向のジグザグ模様を入れたコップを作り、先のコップに吹き込み重ね合わせます。見る角度によって色の重なり具合が変化する美しい波格子の器は、手の中で見つめていると、その色積の中に吸い込まれていくようです。